2013 Fiscal Year Research-status Report
国際取引における実務と法制度の共進化-ソフトローとハードローの観点から-
Project/Area Number |
25380585
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
長沼 健 同志社大学, 商学部, 准教授 (10454480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高杉 直 同志社大学, 法学部, 教授 (60243747)
増田 史子 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (60362547)
吉川 英一郎 同志社大学, 商学部, 教授 (50341045)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 運送書類 / 国際商取引 / サレンダーB/L / 海上運送状 / 船荷証券 / 国際裁判管轄 / ソフトロー / ハードロー |
Research Abstract |
本年度の研究実績は以下の3点である。 まず、実務(取引慣行・商慣習)研究では、運送書類を規定している法制度が実務の形成にどのような影響を与えるのかを検討した上で、調査モデルの構築と仮説の設定をおこなった。また、韓国の研究者で、運送書類に関して先進的な研究をおこなっている崔錫範教授(韓国中央大学)を招待しテーマに関する議論を深めた。それらの成果は、論文3本で述べられている(長沼健「サレンダーB/L第2類型の普及が運送書類電子化に与える影響について」と長沼健「日本におけるサレンダーB/Lの使用状況とその採用要因に関する実証的研究」、増田史子「私法統一条約の機能と適用:外航海運と内航海運の比較から」)。 次に、法制度(国内法・条約)研究では、国際商取引に関連した法制度の現状把握と紛争解決に関する検討をおこなった。それらの成果は、論文6本にまとめられている(松岡博・高杉直「日本の国際裁判管轄に関する新規定」、高杉直「国際商事仲裁における仲裁判断の準拠法-仲裁法36条に関する覚書-」、高杉直「私法統一の現状と課題(5)紛争解決」、曽野裕夫・高杉直「私法統一の現状と課題(6)ハーグ国際私法会議・UNIDROIT・UNCITRAL」、増田史子「国際海上物品運送契約における裁判管轄条項(1)」、増田史子「国際海上物品運送契約における裁判管轄条項(2)・完」)。 最後に、ソフトロー・ハードロー研究では、国際商取引に関する制度を、①企業への聞取り調査と②日本及び外国法制度の調査によって抽出し検討した。具体的には、国際商取引の契約で使用する条項に焦点を当て、それがソフトローとして機能しているかどうかを検討した。それらの成果としては論文1本で述べられている(吉川英一郎「国際契約一般条項のソフトロー性―不可抗力条項(Force Majeure Clause)について―」)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ここでは、研究対象分野と研究会の2点から研究の達成度を説明する。 ①研究対象分野 全ての研究対象分野(実務(取引慣行・商慣習)研究、法制度(国内法・条約)研究、ソフトロー・ハードロー研究)において各担当者が計画通りに研究を進めている。それらの成果は論文10本・図書2冊にまとめられている。 ②研究会 まず、国際研究会は、当初の予定通り、海外の研究者二人を招待し充実した研究会を開催することができた。一方で、国内研究会は、招待研究者の都合により、日程が変更された。そのため、平成26年度の7月に開催する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では、実務(取引慣行・商慣習)研究に関する調査の準備を進め、以下の要領でアンケート調査を実施する。①平成25年度に作成した調査モデルに従い、アンケート調査用のQuestionnaireを作成する。その後、貿易取引関連企業へのアンケート調査を実施する。②調査データを収集し分析する。上記の調査で得られたデータをもとに、統計分析をおこない、運送書類選択の仮説を実証し、運送書類の選択に法制度が与える影響について分析する。 次に、運送書類に関する実務が法制度の形成にどのような影響を与えたのかを解明する。具体的には、文献・インターネット・資料調査から、運送書類について規定している条約、国際規則、国内法の条文を入手し、その改正・制定の時期を調べる。 最後に、平成26年の12月頃を目処に、2日の日程で、国際研究集会を開催する。これらの研究の実施状況は、適宜スーパーバイザーにお知らせし、客観的見地からチェックして頂く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用額が生じた理由は、国内研究会の開催時期が変更されたことである。平成25年に開催する予定であった国内研究会を平成26年7月にする予定である。 国内研究会には、3人の研究報告者(研究者と実務家)を招待し開催する予定である。本研究会の研究成果を踏まえて、本年度の国際研究会を平成26年10月に開催していく。これらの研究の実施状況は、本研究会のスーパーバイザーにも報告し、客観的な立場からチェックして頂く。
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Research Products
(16 results)