2014 Fiscal Year Research-status Report
会計・監査制度の国際標準化と固有性の摩擦と調和:制度及び経営実態の分析を踏まえて
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25380588
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪熊 浩子 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30596416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 剛 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (00334300)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グローバリゼーション / 会計・監査制度 / IFRS / 国際標準化 / 会社法 / 税制 / 監査人の資格 / 監査判断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、企業活動の国際化を背景に、会計・監査制度の国際標準化の流れが加速している現状を踏まえ、この国際標準化が国内の会計・監査の関係制度や企業経営にもたらした不整合を対象としている。具体的には、国際財務報告基準のEU諸国他における導入過程とそこにおける不整合、政府・企業の対応とその影響を制度と経営の実態の両面から明らかにすることで、上のような不整合をいかにして減らし、調和させていくことができるかについて、我が国の会計・監査を中心とした諸制度の方向性を明らかにしようとしている。 全3年間の2年目にあたる本年度では、(1)国際標準化された会計基準と各国会計・監査制度の関係及びそこに起こる問題、各国政府の対応に関する調査・分析、(2)国際的な会計基準が企業経営にもたらす影響と企業側の対応に関する調査・分析、(3)(1), (2)の結果を踏まえた、国際的な会計基準と各国固有の会計・監査制度及び経営との不整合に関する対応の方向性の提示、のうち、(1)と(2)の作業を継続して行うとともに、(3)について検討を進めた。 具体的には、会計と周辺制度との不整合という観点で企業の配当政策について着目し、①国際的な会計基準が自国基準に置き換わる際に起こりうる影響とその解決方法、②自国基準が国際的な会計基準の内容を取り込んで変わっていく場合に起こりうる影響とその解決方法、について検討を行うべく、日本と欧米主要国での動向について諸外国でのデータをもとに分析を行った。 現在までの成果は平成25年度内において、国際学会の発表2回、国内学会の発表1回、またディスカッションペーパー1本に、そして平成26年度では、国際学会の発表1回、国内学会発表1回、和文論文1本、英文1本、また現在までの総括として、単著1冊にまとめられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画通りに進展している。2年目の本年で、まず研究の総括である単著『グローバリゼーションと会計・監査』を上梓することができた。3年目の最終年度である27年度においては、定性・計量分析の結果を踏まえた形でヒアリングを交えるとともに、調査対象国を東アジアなどに広げることも検討している。これらの成果発表に、国際ワークショップの開催または国際ジャーナル投稿に向けて研究論文の執筆に向けて引き続き研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の本研究の推進方法としては、前2年度に行った財務報告や各国経営状況のテキスト分析や財務報告書類の定性・計量分析を通して、会計基準とその周辺制度がどのような相互関係をもたらしたか、また日本における示唆について引き続き研究を行う。主にテキスト分析・定量分析から得られた結果をもとに、論点の分類やIFRSにおける監査のあり方について研究者や会計士などの専門家からヒアリングを行い、分析をより一層明確にするよう心がける。また、調査が順調に進んでおり、成果も単著にまとめられたことから、27年度は、調査対象国を東アジア、とりわけインドネシア・マレーシアに広げることも視野に入れている。これらを踏まえて、研究論文の執筆をすすめ、海外ジャーナルへ投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成27年度請求額と合わせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の本研究を実施するためには、企業の財務情報や各イシューに関連する定量・定性情報のデータベースを作成し、その分析を行うための情報収集や機材・ソフトウェアが不可欠である。また、欧州・東アジアにおける会計や監査の現状を知るために書籍費が必要となる。データを入力・整理し、データベースから得られた情報と統合するという作業のために数十時間程度大学院生などを雇用したいと考えている。また、イシューの分類やIFRSにおける監査のあり方について海外研究者や会計士などの専門家ヒアリングを行う必要があるか、そのためには交通費及び謝金が必要である。また、海外出張についてはマレーシア、インドネシアに1週間程度滞在することを想定して金額を計算している。 また最終的な成果である学術論文についてはこれを国際学会で発表し、最終的には投稿する予定であるため、そのための論文校閲費が必要となる。
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Research Products
(5 results)