2014 Fiscal Year Research-status Report
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25380596
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 秀樹 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80173392)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 会計基準 / 概念フレームワーク / 国際財務報告基準 / 制度派理論 / 非営利会計 / 比較制度分析 / IFRS |
Outline of Annual Research Achievements |
第2年度(平成26年度)は,交付申請書に記載した研究実施計画に基づき,(1)会計システムの制度分析と,(2)比較制度会計学の構築に向けた研究を,予定した。具体的には,(1)については会計基準の国際統合の展開方向を見通すための発展的な研究を,また(2)については制度概念の整備と会計の経済的機能の再定式化を,課題とした。以上の研究計画に沿った研究を行った結果,査読付き論文2本を含む学術論文5本および単著1冊を執筆・公表することができた。また,1件の学会報告を行うことができた。 学術論文は,主として政府・非営利組織の会計制度変化を扱ったもので,政府・非営利組織の経済的重要性の高まりのもとで,ステークホルダーの意思決定に有用な業績情報を適正に表示するにはどのような財務報告が望ましいかを,理論と実証の両面から分析・検討した。その結果,政府・非営利組織の特殊性をふまえつつも,複式簿記・発生主義の採用を含め,可能な限り営利企業会計の技法を関連制度に取り入れること,そして当該各技法を使いこなせる技量を政府・非営利組織の側で涵養することが,重要な課題になることが明らかになった。 単著は,制度派理論(とりわけ比較制度分析Comparative Institutional Analysis)を理論的枠組みとして執筆した財務会計のテキストである。本書は,制度派理論に依拠した会計学の学習・研究の機会を広く読者に提供するために,研究代表者がこれまで進めてきた制度派会計学の研究成果を集成・標準化したもので,比較制度会計学の構築に大きく貢献する成果といえる。この点に,本成果の学術的な意義と重要性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
第2年度(平成26年度)は,交付申請書に記載した研究実施計画に基づき,(1)会計システムの制度分析と,(2)比較制度会計学の構築に向けた研究を,予定していた。この研究計画に沿った研究を行った結果,査読付き論文2本を含む学術論文5本および単著1冊を執筆・公表することができた。単著の執筆・公表は,上記(2)に係る第2年度の具体的課題として計画していたものであり,比較制度会計学の構築という本研究の主要課題の達成にとりわけ大きく貢献するものである。以上のほか,1件の学会報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
第3年度(2015年度)は,第1~2 年度の研究成果をふまえながら,会計制度分析のための理論的枠組みの整備・拡充を行い,本研究の集成をめざす。また,第2年度に執筆(脱稿)した“An Institutional Perspective on Accounting Revolution: Rulemakers' Belief and Empirical Evidence,” D.Bensadon and N.Praquin (eds.), Tributes to Jacques Richardの刊行を予定している。
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Causes of Carryover |
第2年度の研究成果を,国際学会Accounting, Economics and Law: A Convivium, SASE Research Network P Annual Meeting,Londonで発表する予定を立て,そのための旅費を確保していたが,同学会の開催が2015年7月2~4日となったため,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Accounting, Economics and Law: A Convivium, SASE Research Network P Annual Meeting,Londonで研究報告をするための旅費として使用する計画である。報告論文はすでに同学会組織委員会の査読を経て,受理されている。
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