2014 Fiscal Year Research-status Report
日本企業のコストマネジメント行動に関する総合的研究
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25380598
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
梶原 武久 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (30292080)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コストマネジメント / コストビヘイビア / 多段階生産システム / 原価計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は次の通りである。 第1に、物流コスト調査のデータを使用し、物流コストマネジメント行動の分類と規定要因に関する分析を実施し、論文1編を公表した。本研究では、コストマネジメント行動に注目し、コストマネジメント行動をいくつかのタイプに分類した上で、様々な状況要因との関連を明らかにしている点で独創性がある。また、本研究の成果は、今後実施予定としているコストマネジメント行動とコスト水準やコストビヘイビアの関係を分析するためのベースを提供するものである。 第2に、コストマネジメントに関するサーベイ調査を実施するための質問紙を作成し、プリテストを実施した。多くの先行研究が、公表財務諸表データによるコストビヘイビア分析を行うことを通じて、経営者のコストマネジメント行動を間接的に推察するという研究アプローチを採用してきたのに対して、本研究では、サーベイ調査を採用し、コストマネジメントの当事者の生の声を聞くという点で、ユニークな貢献がある。当該質問紙に基づくサーベイ調査を、平成27年度に実施する予定である。 第3に、多段階生産システムで発生する様々な障害に起因する原価を測定するための原価計算技法の開発を行った。多段階生産システムにおいて、特定の工程で発生する障害は、生産システム全体の出力に影響を及ぼす。そこで、本研究が提案する技法は、特定の障害が、生産システム全体の出力にどのような影響を及ぼしたかという観点から、原価の測定を行うものである。本研究では、自動車産業においてシミュレーションを実施することで、遂行的コストマネジメントを実施するための有用な原価情報が得られることを確認した。今後、幅広い産業における適用が期待される。この点の研究成果として、論文2編の公表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物流コスト調査データに基づく分析が、順調に進んでおり、平成27年度には成果を公表することができる。 企業の倹約文化(corporate frugality)とコストマネジメントを明らかにするための質問紙が完成しており、平成27年度に実施できる体制となっている。 多段階生産システムで発生する様々な障害に起因する原価を測定するための原価計算技法の開発を行い、2編の論文を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
物流コスト調査データを用いて、物流コストマネジメント行動が、コスト水準やコストビヘイビアに及ぼす影響についてさらに分析を進める。分析を行う上で、ミシガン州立大学Ranjani Krishnan教授、Sriram Narayanan准教授等と連携を行う。成果は、国内外の学会で報告し、論文を投稿する。 昨年度までに作成した質問紙に基づき、倹約文化(corporate frugality)とコストマネジメントを明らかにするためのサーベイを実施する。成果は、国内外の学会で報告し、論文を作成する。
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Causes of Carryover |
サーベイ調査を平成26年度に実施予定にしていたが、質問紙の作成およびサンプルの特定のために時間を要したため、平成27年度に実施することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度にサーベイ調査を実施することで、予算を執行する予定としている。
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Research Products
(3 results)