経営者予想利益の裁量性に関する実証分析

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25380599
• Research Institution: Kobe University
• Principal Investigator: 首藤 昭信 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (60349181)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: 経営者予想利益 / 利益調整

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は，経営者の予想利益の公表に伴う経営者の裁量行動を分析することである。具体的には，決算発表時に公表する次期の利益予想値について，（1）経営者は裁量的な調整を行っているか，（2）調整を行っている場合，その経済的動機は何か，（3）調整された予想利益に対して，株式市場はどのように反応しているか，ということを分析する。本研究の先行研究に対する展開を要約すれば以下のとおりである。第1に，先行研究は，予想誤差（予想値と実績値の差額）に注目して予想利益の信頼性を測定しているのに対して，本研究は経営者予想利益自体の裁量的調整を分析する。経営者予想利益の期待値を推計するモデルを開発し，経営者予想利益の裁量部分を抽出する。そして，予想利益公表時点において，経営者が予想利益のかさ上げを行っているかどうかを検証する。
第2に，調整を行う経営者の動機として，株価形成に関連する動機に注目する。利益調整研究の多くは，企業が締結する契約にもとづいて動機を特定することが多い。しかし経営者予想利益が契約に組み込まれることは稀であり，その動機解明には，他の理論的な考察を行う必要がある。したがって株価形成のインセンティブに着目して，仮説設定を行うことが本研究の第2の展開である。
昨年度は，上記の研究計画に沿って分析を進め，すでに分析結果をワーキング・ペーパーで公表している。当該年度は，ジャーナルへの投稿を行っている。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の予定では，当該年度はワーキング・ペーパーの作成を予定していたが，すでに作成は終了し，ジャーナルの投稿や研究会での意見交換を進めている。そのため，研究計画にしたがっておおむね順調に進展していると思われる。

Strategy for Future Research Activity

査読付き英文ジャーナルに投稿済みであり，改定要求をもらっているため，できるだけ早い公刊を目指して修正を行う。また並行して，国内外の学会等で研究報告を行うことで，論文の品質改善を行う。

Causes of Carryover

2015年4月より，神戸大学経済経営研究所から東京大学経済学研究科へ所属が変更となるため，東京大学ではパソコン等の基礎的な研究設備を再度購入する必要が生じるため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

パソコン，プリンターおよびスキャナーなど新しい研究環境で必要な機器類を購入する予定である。