2014 Fiscal Year Research-status Report
独立行政法人における業績管理システムの有効活用に関する研究
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25380600
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松尾 貴巳 神戸大学, 社会科学系教育研究府, 教授 (80316017)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 管理会計 / 行政管理 / 公共部門民営化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はインタビュー調査、文献調査、海外研究者との意見交換と、これらに基づくサーベイ・データの分析結果の検討、論文作成・投稿を実施した。インタビュー調査においては、独立行政法人化による業績向上について、とくに医療機関などの収益獲得型事業においては、コスト低減効果は必ずしも大きくないが、むしろ柔軟で迅速な設備・機器調達、雇用による収益獲得機会の追求によるメリットが大きく、組織運営のベースが変化することで、職員の行動に変化をもたらすことがわかった。他方、文献や海外研究者(Vicente Pina 教授、Ana Yetano准教授など)の意見では、組織形態の変更や計画・評価制度を導入しても、形骸化や粉飾に近い行動に結びつくことが指摘されており、インタビュー結果もふまえサーベイ・データの分析において確認した。分析の結果、短期、中期の計画・評価制度を活用し業績に結びつけている組織は、高い目標設定と実施を可能にするリーダーシップや組織横断的なコミュニケーションなどの組織文化的側面の能力の高い組織であることが伺えた。以上の分析から、独法化による基本的な組織運営方法の変更や計画・評価制度の導入は、PDCA(計画、実施、評価、行動)サイクルを回す一つのきっかけとなり得るが、情報活用や業績に結びつけるためには計画・評価制度の導入だけでは不十分であり、組織風土改革、人材育成等を含む包括的な取り組みが必要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内独立行政法人に関するデータを使い、海外の先行研究と関連付けながら、統計的分析を行い、論文としてまとめることができた。論文は、International Journal of Public Administration誌に投稿し受理された(平成27年度掲載予定)。
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Strategy for Future Research Activity |
独立行政法人には、造幣局のような製造業から医療機関、研究所、基金など多様であり、より深い研究を行うためには、業種を絞って調査することが重要である。平成27年度においては、医療機関など業種を特定し、当該業種の法人における計画・評価システムの運用について検討する。その際には、同じ業種で、地方独立行政法人の違いについても明らかにする必要がある。
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Causes of Carryover |
平成26年度中に実施予定であったインタビュー調査の一部、海外研究者との意見交換について、日程等の調整がつかず平成27年度に繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インタビュー調査の日程調整を進めており、国内においては6月、海外においては7月~9月の間に実現する予定である。
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