2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25380606
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
浅野 敬志 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 准教授 (30329833)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 財務会計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、業績予想の開示の多様性とそれが資本市場等に及ぼす影響について明らかにすることにある。 わが国では、2012年3月期以降の決算期より、決算短信(サマリー情報)の業績予想の開示方法が柔軟化されている。柔軟化以降の期間を対象にした調査によれば、業績予想の開示方法に大きな変化が見られず、大半の企業が従来の原則的な取扱いに沿って業績予想を開示していた。ただし、グローバリゼーションなどの影響で様々なリスクや不確実な要素に直面する企業が増えていることもあり、業績予想の開示を控える企業、短期的な予想のみを開示する企業、レンジ予想を開示する企業が徐々に増えつつあることも確認できた。 業績予想の開示の多様化が進む米国では、利益以外の予想項目(売上予想、CF予想など)の開示割合が増加傾向にある。利益以外の予想項目は分割予想と呼ばれるが、分割予想を追加開示した企業は利益予想のみを開示した企業に比べて、予想公表後におけるアナリストの利益予測修正が早く、その修正幅が大きく、その予測分散が小さくなること、また、このような分割予想の開示効果は、アナリストの利益予測が困難と思われる時ほど大きくなることも判明した。 米国ではまた、レギュレーションFD(公平開示規制)の施行以降、アナリストによる特定度の高い業績予想を求める圧力が弱まったこともあり、ポイント予想と上限予想の割合が減り、レンジ予想の割合が急増している。レンジ予想の採用には、企業規模、株価ボラティリティ、Proprietary cost(機密情報開示コスト)、法的債務、予想期間の長さなど、様々な要因が影響すること、またレンジ予想は投資家の投資判断の自信を弱めたり、投資家の投資ポジションによって投資判断が左右されやすい状態を招くことも明らかになった。
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Research Products
(8 results)