2013 Fiscal Year Research-status Report
会計測定の思想史と論理に関する総合研究―最適な会計システムの探究―
Project/Area Number |
25380616
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
上野 清貴 中央大学, 商学部, 教授 (90140631)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 会計思想史・論理 / 取得原価会計 / 修正原価会計 / 現在原価会計 / 売却時価会計 / 現在価値会計 / 公正価値会計 / RO・EVA会計 |
Research Abstract |
本研究は、これまで会計および会計理論において提唱されてきた会計基準がどのような系譜と思想を有し、それらがどのような論理(長所および課題)を有しているのかを解明することによって、会計測定の将来を展望することを目的としている。 この目的を遂行するために、平成25年以前に次の論文を作成し、大学の紀要等に掲載していた。①会計原則・基準の萌芽と取得原価会計、②取得原価会計の学説的展開、③修正原価会計の萌芽と進展。 取得原価会計に関して、まず会計基準設定主体の会計原則・会計基準として、米国会計学会(AAA)および米国会計士協会(AIA)、のちの米国公認会計士協会(AICPA)のものを検討した。会計学説については、取得原価会計を首尾一貫して提唱した代表的な会計学者として、ギルマン、リトルトンおよび井尻を選び、彼らの学説を検討した。修正原価会計に関して、これを提唱した代表的な会計人として、スティーニーおよびメイの学説を検討し、そのほかにAAAおよびAICPAの声明書を取り扱った。 これを受けて、平成25年度は次の論文を作成し、やはり大学の紀要等に掲載した。①現在原価会計の進展と終焉、②売却時価会計の進展と継承、③現在価値会計の進展と継承。 現在原価会計に関して、これを提唱した代表的な会計学者として、エドワーズ=ベルおよびレヴズィンの学説を検討し、そのほかにAAAのおよびFASBの会計基準を考察対象とした。売却時価会計に関して、これを提唱した代表的な会計学者の学説を検討した。具体的には、チェンバース、スターリングおよびローゼンフィールドの学説を取り上げた。現在価値会計に関して、これを提唱した学者として、フィッシャー、リンダール、ヒックスおよびアレクサンダーが有名であるので、彼らの学説を検討した。現在価値会計に関しては、これらのほかに、さらに現代的な学説も考察対象とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、平成25年度に、取得原価会計(修正原価会計を含む。)および現在原価会計を研究し、平成26年度に、売却時価会計および現在価値会計を検討する予定であった。 しかし、研究実績の概要でも書いたように、平成25年度以前にすでに取得原価会計および修正原価会計を研究していたので、平成25年度は、現在原価会計のほかに、売却時価会計および現在価値会計を検討することができた。 これらは平成26年度の研究計画の領域であり、平成25年度はその領域に踏み込んでいる。この意味で、当初の計画以上に研究が進展しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に売却時価会計と現在価値会計を検討することができたので、今後はまず、公正価値会計を研究する。公正価値は、売却時価と現在価値の混合概念であるということができるので、売却時価会計と現在価値会計を解明したあとで、この公正価値会計を検討することができる。 その後の計画として、新しい会計思想としてのリアル・オプション会計(RO会計)と経済付加価値会計(EVA会計)を取り上げる。これらを検討することによって、現代会計における理念的に最適な会計システムを導き出すことができる。 そして最後に、現在に生きる会計測定の論理を解明していく予定である。ここでは、これまで検討してきた各会計の論理を整理し、現在の会計測定思想を明らかにし、結論として、現在まで息づいている会計測定の論理を解明し、これに基づいて、今後の会計測定の展望と課題を明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の所要額は1,300,000円であり、当該年度の実支出額は1,299,215円であり、785円を残した。これは所要額に比して、微小な金額であり、所要金額のほとんどすべてを支出したと認識している。 この金額で、通常よく行われるように、消耗品などを購入してもよかったのであるが、それは研究上無駄なので、それをせず、次年度に繰り越すこととした。 この785円は微小な金額であるので、次年度の所要金額に含めて、研究計画に基づいて支出していく予定である。
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Research Products
(5 results)