2015 Fiscal Year Annual Research Report
会計測定の思想史と論理に関する総合研究―最適な会計システムの探究―
Project/Area Number |
25380616
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
上野 清貴 中央大学, 商学部, 教授 (90140631)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 会計測定 / 会計の思想史 / 会計の論理 / 取得原価会計 / 現在原価会計 / 売却時価会計 / 現在価値会計 / 公正価値会計 |
Outline of Annual Research Achievements |
科研費の研究期間内に著書『会計測定の思想史と論理―現在まで息づいている論理の解明―』(中央経済社)を完成し、公表した。本書の目的は、これまで会計学説および会計基準において様々な会計測定が提唱されてきたが、これらの会計測定がどのような思想および系譜を有し、それらがどのような論理を有しているのかを解明することによって、会計測定の将来を展望することである。 本書は、研究の出発点を1930年代の米国で公表された会計原則・会計基準においている。その会計測定の論理の変遷は、まず取得原価会計が提唱され、現在原価、売却時価、現在価値などへ引き継がれ、また消滅して、近年の国際会計基準で適用領域を拡大しつつある公正価値会計にたどり着いたものである。 本書では、これらの測定・評価基準が有する独自の論理を明らかにして、なぜその基準が消滅したのか、なぜ現在まで続いてきたのかの解明を行い、さらに、会計測定の将来を展望している。本書は本研究期間の集大成である。 本書の取り扱った会計測定の思想史は、1930年代から2010年代の約80年間であるが、その間に会計測定の思想は大きくうねっており、現在でも大きく変化しつつある。この80年間に会計測定の思想がすべて出尽くしたといっても過言ではなく、この意味で、本書は会計測定の思想を網羅したものであるということができる。 この会計測定の大きなうねりを感じつつ、本書において、会計測定の思想の中で現在まで息づいている論理と今後の会計測定の展望および私が現在感じている会計測定の課題を提示し、会計測定の今後の展望を示している。 本書を会計測定研究の集大成としたので、今後は、これを基礎づけるための研究を計画している。それは「会計の哲学的研究」である。そこでは、科学哲学の思想を背景として、会計研究の方法論、哲学における存在論と認識論、および公理論の会計的研究を予定している。
|