2013 Fiscal Year Research-status Report
日本企業の財務諸表の訂正に関する継続調査と実証的研究
Project/Area Number |
25380624
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
奥村 雅史 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30247241)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 財務諸表の訂正 / 利益情報の訂正 / 決算訂正 / 修正再表示 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は,研究成果の出版,追加的な訂正情報の収集,重要な研究成果についての論文作成の大きく3つに分けられる。 第1に,これまで2004年から2009年において生じた財務諸表の訂正に関して研究を実施してきた。これまでの研究における成果を,第1部実態調査の結果,第2部株式市場に対するインパクト,第3部訂正企業における企業ガバナンスの状況と利益訂正が発生する発生可能性との関係という構成で体系的な研究書として包括的に取りまとめた。そして,これを『利益情報の訂正と株式市場』という書名で中央経済社より出版した。 第2には,2010年以降に生じた財務諸表の訂正事例を収集した。これまで採用してきた研究方法との比較可能性を確保するために,東京証券取引所の適時開示システムに登録された決算短信に関する訂正を収集し,これをデータベース化する作業を行った。なお,これまでの研究から,財務諸表の訂正のなかでも開示した利益情報に関する訂正の重要性が高いことが株式市場の反応から明らかであるために,とくに,利益情報を訂正している事例について広範に開示情報を収集している。 第3に,企業ガバナンスの状況と利益情報の訂正の発生可能性に関する研究成果を論文とする作業を行った。これまでの研究成果のなかでも,企業ガバナンスにおける会社役員の特性と利益情報の発生確率との関係に関する結果はとくに興味深いものであるために,これを英文で取りまとめて論文とする作業を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
会社役員の特性と利益情報の訂正の発生可能性との関連を分析した結果を論文として完成する予定であったが,サンプルサイズを拡大する必要が出てきたために,事例の追加的収集作業を優先した。このため,論文作成やセミナーでの研究発表は進めているものの,論文の完成には至っていない。また,訂正事例のデータベース化も,アルバイト学生の確保の問題のために,その作業が若干遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2010年以降の財務諸表の訂正事例を収集し,個別のケースを検討するとともに,これをデータベース化する作業をさらに進める。データベースの完成後,これを利用して,株式市場への影響,企業ガバナンスとの関係に関して,これまでの分析ではサンプルサイズが小さいために遂行にできなかった研究を進めるとともに,過去の研究結果の頑健性チェックを行う予定である。 さらに,これまでの内外の研究で必ずしも十分に研究されていないテーマである利益情報の訂正に関する予測モデルの構築に関して,これに利用可能であると考えられる包括的な情報を利用した研究を実施する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アルバイト学生の確保が困難であったことから,当初計画と比較して,データベース作成のための作業が遅れたため,謝金の支出が少なくなった。また,英文論文の作成も若干遅れているため,校正料等が未支出の状況である。 前年度に予定していたアルバイト作業を今年度中に実施する。また,英文論文作成のための校正料等の支出を予定している。
|