2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380625
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tama University |
Principal Investigator |
清松 敏雄 多摩大学, 経営情報学部, 准教授 (40623541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠谷 貴裕 明星大学, 経営学部, 助教 (70583235)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 報告利益管理 / 新規株式公開 / 裁量的発生項目 / アクルーアルズ / ガバナンス / 潜在株式 |
Research Abstract |
平成25年度においては、①過去の先行研究のサーベイの実施、②イギリスおよびシンガポールにおける証券関係者等へのインタビューの実施、③平成26年度において行う予定の実証分析のモデルの検討、④同じく平成26年度において行う予定の実証分析のデータ収集方法の検討の4点を中心に行った。具体的には、次の作業を行った。 まず、①の先行研究のサーベイは、会計学の領域における海外・国内文献だけでなく、ファイナンス関係の文献についても可能な限り調査を行った。実証分析にあたっては、ガバナンスや潜在株式を考慮する予定であるが、これらについては、会計学だけでなくファイナンス研究においてもモデルに組み込まれているためである。 次に、②は、非常に歴史が古いロンドン市場と、逆に近年の発展が著しいシンガポール市場の2つの市場の関係者に対し、新規株式公開企業がどのような意図をもって株式公開を図っているのかを中心にインタビューを行った。これは、企業が報告利益管理を行う意図の相違を探るためである。 ③については、典型的な裁量的な発生項目を被説明変数とした場合に、どのような説明変数を用いるかについてのモデルを検討した。現時点ですべて確定しているわけではないが、ストック・オプションの付与状況、ガバナンスに関する項目を具体的に変数として用いることを決めており、現在、具体的な数値が入手可能なものと、ダミー変数により対応するものとを峻別している状況である。最後に、④については、③とも関連するが、どのデータベースを用いて実証分析を行うかについて検討を行った。市販のデータベースにより入手した情報に加え、株式公開白書などから別途手入力によってデータベースを補強し、オリジナルのデータベースを作成することになるが、その項目について概ね決定している状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画において、平成25年度における主な作業は、①先行研究のサーベイ、②証券関係者等へのインタビュー、③裁量的発生項目を用いたモデルの決定、④オリジナルデータベースの作成であった。 平成25年度の実績としては、①~④について個々に述べると、まず①については、概ね完了している。具体的には、海外ジャーナル、国内の学会誌を中心に、先行研究のサーベイを行った。この際、新規株式公開前後の報告利益管理に関する先行研究のみならず、報告利益管理に関する先行研究についてやや範囲を広げてサーベイを行っている。 次に、証券関係者等へのインタビューであるが、ロンドン市場、シンガポール市場についてはインタビューを完了している。これらについては、実際に現地に訪問し、現地で業務を行っている方々にインタビューを実施することができた。ただし、当初の計画では対象としていた香港市場については、インタビューを実施できていない。これは、対象者の日程と我々の日程の調整の問題であり、平成26年度に可能な限り実施したいと考えている。 それから、③については、先行研究を踏まえ、どのような項目をモデルにおける説明変数として用いることが望まれるかを概ね決定しており、当初の計画通りに進んでいる状況である。 最後に、④についても、株式公開白書等からの入力はいまだ行えていないが、日経メディアマーケティングよりガバナンス関係のデータベースを購入(こちらは自費)しており、手入力による部分を削減できている。平成26年度の前半には株式公開白書等からの追加情報を補充し、オリジナルのデータベース作成を完了させる見込である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、2名の大学教員による共同研究であり、定期的にミーティングを行って相互に進捗を確認することで遅延を防止している。今後も、この方法を継続する予定であり、研究に遅れが生じないように進めていく予定である。 次に、研究を行った成果が求められるが、これについては非公式の勉強会だけでなく、学会・学会の部会における報告を行うことが、遅延を防ぐだけでなく研究成果の精度を高めるためには必要であると考えている。平成26年度の後半においては、何らかの報告を行い、他大学の研究者からさまざまなご意見をいただくことによって、精度を高めていく予定である。その上で、平成27年度には、その成果を公表できるようにしたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は、主に次の3点である。まず1つは、オリジナルのデータベースの作成の過程で、株式公開白書等からの手入力が発生するが、この作業を研究者自身で試みているためである。最終的には、アルバイトに入力してもらい、研究者が確認するのであるが、どのようなエラーが発生しやすいのか等を確認するために、平成26年3月末時点では研究者自身が行っているためである。2点目は、日経メディアマーケティングが作成したデータベースを購入したことが挙げられる。この際、購入代金を研究者個人で負担しており、このために未使用額が生じている。なお、個人で負担したのは、どの程度手入力が減少し、アルバイト代を削減できるのかが完全には明確でなかったためである。最後に、ロンドンとシンガポールの証券関係者等についてインタビューを行ったものの、香港市場の関係者は日程の都合で平成26年度に持ち越しとなったためである。 次年度使用額及び平成26年度請求額の合計額の使用計画は次の通りである。 まず、株式公開白書等からの手入力の作業は依然として必要であり、これらの作業により人件費が必要となる。これについては、平成26年度に実施予定である。次に、データベースの購入であるが、平成25年度に購入したデータベースについては、その後1年分のデータが不足することになるため、その情報を手入力により追加するか、あるいは追加分のみ購入することを検討している。人件費となるか物品費となるかの相違はあるものの、次年度使用額はデータベースの補充のために使用することが見込まれる。最後に、香港の市場関係者へのインタビューであるが、こちらも平成26年度に実施予定であり、未使用額を使用することが見込まれる。このほか、わが国の証券市場関係者へのインタビューも予定しており、主要な証券取引所等への訪問・インタビューを予定している。
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