2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380631
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
中村 恒彦 桃山学院大学, 経営学部, 准教授 (50368388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 泰洋 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80324903)
澤登 千恵 大阪産業大学, 経営学部, 教授 (30352090)
北浦 貴士 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (00633489)
野口 昌良 首都大学東京, 社会科学研究科, 教授 (70237832)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 規制空間 / 財閥解体 / 経路依存 / イデオロギー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、過度経済力集中排除法の適用と除外を通じて、規制空間が形成されていくことを分析することであった。現在までの研究成果は、規制空間の形成過程にはイデオロギー的な要素が多いこともあり、拙著「会計学のイデオロギー」のなかに反映させた。これは、アクターの認識方法がイデオロギー的な構造に依存するからである。
当時の日本では、統一的な会計ルールがなく、不透明だとして指示書や企業会計原則の制定にいたるわけだが、実際には過度経済力集中排除法の適用にあたり、企業と当局側で相当な会計情報が交換されている。当然、ここには、GHQの移行を受けて財閥解体を実施する当局側と解体を免れたい企業側の対立があるわけだが、会計情報はその対立における一定の緩衝材になっているように思われる。ただし、当局側と企業側の認識方法は元々異なっていたわけで、それぞれの認識方法を糾合させていく空間的な広がりとして考えることができる。このように、規制空間が形成される。
こうした研究成果については、すでに2014年にDisscussion Paperとして、鉱山会社の財閥解体を例として、刊行している。今後は、他の会社だけでなく、戦前・戦中の会計制度にも適用し、さまざまな研究成果としてまとめて、発表していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度同様に、先行研究の文献検索と比較考察に時間をとられている。規制空間をなぜ使うのかという点に集中して答えることにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度同様に、①財閥解体だけでなくその周辺環境についての考察を深める、②会計制度とその規範的言説との関係を深める。③現在のシステムの源流を探る形で進める。また規制空間という枠組みがさまざまな研究に用いることがわかるように、私自身の従来の研究にも適用したい。
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Causes of Carryover |
先行研究レビューに時間をとられ、具体的な作業に遅れが生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果を発表する費用にあてたい。
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Research Products
(1 results)