2015 Fiscal Year Research-status Report
日本の大学における国際交流担当職員の専門性に関する研究
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25380637
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡部 留美 名古屋大学, 国際機構, 准教授 (90397787)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際教育交流 / 職能開発 / 大学の国際化 / 外部人材 / 第三の職種 / 専門性 / ライフストーリー / 教職協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本の大学における国際教育交流部署に従事する職員の専門性について、どのように専門性が身についているか、専門性が職場で生かされているかを明らかにすることである。研究方法としては、担当職員へのインタビューとその内容分析であった。過去3年で約50名へインタビューを行った。 研究を進めるにつれ、幾つかの点が明らかになった。1点目は、国際教育交流部署には、職員という立場以外にも教員として関わっている者もいることである。大まかに分けると、私立大学では職員が、国立大学では教員が中心となり、国際教育交流について企画・運営を行っている実情がある。2点目は、の近年の競争的資金制度の拡充に伴い、有期雇用教職員が増加しており、様々な雇用形態のスタッフが国際教育交流に関わっていることが明らかとなった。これらのスタッフを6つの型に分類した。すなわち、従来タイプである正規教職員「ジェネラリスト型」、「ハイブリッド型」、「プロフェッショナル型」と、近年の外部資金等による有期雇用での中途採用などの教職員「経験・能力既存型」、「コミットメント型」、「ステップアップ型」である。それぞれについて特徴、利点、課題などをまとめた。 現在の状況は、大学にとってメリットもあるが、デメリットも多く生じており、大学経営として考えていかなければならないことが指摘できた。従って、これまで大学職員論で論じられてきた「正規職員の職能開発、キャリア支援」という枠組みでは、捉えることは困難である。将来的に、海外の大学のように教員でもない職員でもない新しい職種が国際教育交流分野には必要であるのか、また職種を作るとしたらどのようなものであるのかを、国際教育交流部署の業務内容や必要とされる人材の特殊性を考慮しながら検討していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、大学職員を対象とし、インタビューを行い、その内容から研究目的を明らかにすることであった。データを収集するなかで、当初想定していた正規職員以外の、教員や有期雇用の職員についてもデータ収集する必要があると考えた。インタビュー依頼であるが、直接研究者の知り合いに依頼する場合もあれば、知り合いを通じて第三者に依頼するケースもあったが、後者では、個人的な内容を含むため断られることが何度かあった。依頼にあたっては、研究内容や目的を明確にし、データの扱いについても個人に被害が被ることがないよう慎重に行ってきたが、理解を得られないこともあり、この点については、今後の課題となった。 さらに、収集したデータについて、スクリプトにし、インタビューを実施した個人に見ていただき、データとして使用できる箇所を伺ったこともあるが、非公開希望の部分が多く、データとして使用できないケースもあった。 しかしながら、インタビューに快く応じていただくことも多々あり、非常に貴重なデータとなった事例もあった。利用できるデータをもとに、学会発表や論文にすることができ、関係者からコメントや重要な情報などフィードバックをいただくこともできた。29年度も引き続きデータ収集を行い、より多くの事例を集め、研究の成果となるようにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したとおり、インタビューはインタビューする側とされる側の関係性の問題が大きい。今後データを収集する際には、非常に緻密なアプローチと収集したデータの取り扱い・管理が重要である。これらの点に気をつけながら、さらなるデータ収集を進めたい。3年間の間に、関係学会等で本研究に関心を持ってくださった関係者もおり、これらで培ったネットワークを使い、データ収集を行うことも検討している。本研究で明らかにした、6つの型それぞれに当てはまる教職員を探し、インタビューデータに当てはめる。6つの型以外にも新たな型が発見できる可能性もある。6つに絞られず、型を発展させるためにもデータ収集に力点を置きたい。
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Causes of Carryover |
研究が予定通りに進まなかったため、次年度も本研究を遂行するにあたり、予算が必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データを収集するための国内旅費として使用する。研究成果を発表するための学会参加、及び関係者からアドバイスをもらうための旅費として使用する。論文作成に必要な書籍の購入、データ処理のための機器購入や人件費に使用する。
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Research Products
(3 results)