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2013 Fiscal Year Research-status Report

労働者による職場規制の可能性-労働運動へのコミットメントと労働中心生活からの退出

Research Project

Project/Area Number 25380665
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionGifu University

Principal Investigator

伊原 亮司  岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (60377695)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords労働組合 / 地域ユニオン / 職場規制 / 組織コミットメント / 勤労観
Research Abstract

本年度は、労働組合および労働運動に関する先行研究を働く場の視点から整理した。日本の労働組合は会社と協力的な関係を築いて労働者から職場への高いコミットメントを引き出すとして、先行研究が高く評価してきた。ところが、そのような企業内組合は、会社組織と雇用が存続することを前提にして経営に「参加」してきたが、個々の経営施策や労働慣行に対する規制という視点をほとんど持たなかったために、働き方が個人主義化し、非正規雇用が増大し、働く場で個別の問題が噴出しても、対応できないのである。その結果が、正規・非正規を問わず、組合離れの加速である。
しかし他方で、個人加盟のユニオンが台頭し、企業内組合のサポートを受けられない人たちの受け皿になる新たな労働運動の動きがある。理不尽な処遇や不当な解雇を撤回させるために会社を提訴したり、労働審判制度の活用を手助けしたり、職を失った人たちを支援したりしている。旧来の協調的労使関係論が低調になる中、新しい労働運動およびそれらに関する研究が活発である。
先行研究は、個人加盟組合を、企業内組合が切り捨ててきた労働者層を取り込み、NPOなど他の社会的組織とも連携を持ち、紛争の解決率が高いとして評価する。筆者も、それらの諸点を評価する。しかしながら、当該事件の解決だけが目的となり、しかも和解に達したとしても金銭的な和解が多く、職場環境や労働条件の改善には結びつきにくい点で限界を抱えると考える。先行研究は、職場規制という視点が希薄であり、個人加盟のユニオンに関わっている者たちの労働運動、会社組織、そして働くことに対するスタンスが職場へいかなる影響を及ぼすのかという視点が欠けている点で問題があるのだ。したがって次年度以降、働く場への影響という視点から個人加盟ユニオンに関わる人たちの意識や活動実態を具体的に検証していきたいと思う。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、労働組合や労働運動に関する研究を職場という視点から整理した。『日本的経営』を支えてきた企業内組合に対する好意的評価と90年代以降の批判、新しい労働運動にかんする研究をサーベイし、それぞれの組合には独自の特徴があるが、両方とも職場規制という視点が弱い限界を抱えている点を明らかにした。ここまでの研究成果の一部は、「職場における『いじめ』の変化とその背後にある企業合理化」『現代思想』Vol.41-15、2013年。「市場主義時代における能力論-場や社会関係から遊離した「能力」の議論に対する批判的検討-」『なぜ、市場化に違和感をいだくのか? 市場の「内」と「外」のせめぎ合い』高橋弦・竹内章郎編、晃洋書房、2014年所収、91~109頁。「『社会貢献』を意識した活動の可能性と限界-市場原理の拡張・規制・相対化-」同上所収、110~135頁)。
調査研究に入る前の下準備を終えることができた。

Strategy for Future Research Activity

本年度は、東海圏域の地域ユニオンをフィールドとして、組合活動の概況を調査する。最終的には、労働者や失業者、および彼ら・彼女たちを支援する人たちの労働運動、企業組織、そして労働に対するスタンスや意識を調査し、それらが、働く場の環境や労働条件にいかなる影響を及ぼしているかを明らかにする。本年度はそこまでの調査はできないが、来年度の調査に向けて、組合の活動状況の全体像を把握する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

労働運動にかんするシリーズ本を購入予定であったが、本年度の納入が間に合わなかったため。
上記の分は、次年度で購入する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2014 2013

All Journal Article (1 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 職場における『いじめ』の変化とその背後にある企業合理化2013

    • Author(s)
      伊原亮司
    • Journal Title

      現代思想

      Volume: Vol.41-15 Pages: 98~111

  • [Book] なぜ、市場化に違和感をいだくのか?2014

    • Author(s)
      伊原亮司ほか、4名
    • Total Pages
      195(89~135)
    • Publisher
      晃洋書房
  • [Book] Globalization and Japanese-style Management: Image and Changing Reality.(Kees van der Pijl ed. The International Political Economy of Production. Handbooks of Research on International Political Economy series, eds. Benjamin J. Cohen and Matthew Watson.)2014

    • Author(s)
      Ryoji Ihara
    • Total Pages
      出版予定
    • Publisher
      Edward Elgar Publishing

URL: 

Published: 2015-05-28  

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