2013 Fiscal Year Research-status Report
戦後期のアイヌ民族に関する施策・学術・報道をめぐる社会学的考察
Project/Area Number |
25380668
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
東村 岳史 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (20273211)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アイヌ民族 / 施策 / 学術 / 報道 |
Research Abstract |
今年度は主として基礎的な資料収集作業を行なった。政策動向については、政府のアイヌ政策推進会議のホームページに掲載される議事録、また道内自治体のホームページ上の情報などをダウンロードした。報道については、以前から継続的に行なってきた北海道内の新聞記事のうち、北海道新聞の1970年代後半から80年代前半の記事を検索しデータベースとしてまとめている。北海道新聞は1988年7月以降の記事を自社でデータベース化しており、残り2年の間にそこまで到達できる見通しである。 狭義の「アイヌ研究」に関する資料収集には今年度は本格的には取り組まなかったが、先住民族関連の研究動向や問題点については、海外の事例で参考になりそうなものを集めている。 初年度は、施策・学術・報道それぞれの要素を別々に作業してきたが、並行して、要素の連関をとらえる枠組みを検討している。たとえば、「政策推進会議」という審議機関の設置は、日本政府の一般的な政治手法として他の課題とどのような共通性が見出せるのか、そのような審議会への研究者やマイノリティ当事者(アイヌ)の参加はどのようなものか、その政策決定への影響力はいかなるものか、他国の政治手法と比較してどうか、といった諸点を分析するための理論や概念である。マイノリティに関わる課題として「周辺化」されていたものが、ある種の「メインストリーム化」がはかられる際に働く力学をとらえられれば、意義深い成果になるものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集が申請時に見積もった際とほぼ変わらず推移しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き資料収集につとめるのと並行し、三つの要素の連関や一般化をはかるための理論や概念整備の検討を深化させたい。
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