2014 Fiscal Year Research-status Report
社会問題に関する日英テレビニュースのディスコース分析のためのフレームワークの構築
Project/Area Number |
25380690
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
糟屋 美千子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (20514433)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | テレビニュース / クリティカル・ディスコース分析 / マルチ・モダリティ / メディア・ディスコース / 社会問題 / 日英比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会分析のためのディスコース研究であるクリティカル・ディスコース分析のアプローチを用いて、社会問題に関する日本のテレビニュースと英国のテレビニュースを分析し、ニュースのディスコース(社会的実践としての言語的要素および映像など非言語的要素)によって、イデオロギーがどのように構築されるか、そのメカニズムを多面的に分析する包括的なフレームワークを作成することを目的としている。そして、社会問題についての現代社会の考え方が日英のテレビニュースによってどのように作られているかを明らかにすることを目指すものである。 26年度は、25年度の日本のニュースの分析に続いて、研究の第2段階として、社会問題を扱った英国のテレビニュースのデータを収集し、その中から選択したニュースのデータを文字起こししてスクリプトを作成した。そして、データから言語的要素と非言語的要素を抽出して、イデオロギー構築の分析を行い、25年度に作成したフレームワークの妥当性を検討した。具体的には、データとして、英国の公共放送と民間放送のテレビニュースを用いて、ディスコースの言語的・パラ言語的要素がどのように特定の考え方や価値観を作成しているかをみるための手法や分析視点の検討をした。 こうした分析・検討の結果、社会問題に関するテレビニュースにおいて、25年度に日本のニュースの分析視点として抽出されたイデオロギー分析のための視点、すなわち、ニュースが何に重点をおいているか、描写される出来事についてどのような因果関係を設定しているか、出来事の登場人物をどのような属性を持つものとして描写しているか、などの視点が英国のニュースにおいても有効であることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究は、当初の計画どおり、英国のテレビニュースのデータの収集、選択したデータのスクリプトの作成、データからの要素の抽出・分析を行い、分析フレームワークの妥当性の検討を行うなど、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、本研究の第3段階として、25年度に分析した日本のテレビニュースと、26年度に分析した英国のテレビニュースの比較検討を行う。そして、ディスコースによるイデオロギー構築のメカニズムを多層的に検討する。日英のニュースの比較検討により、社会問題に関するイデオロギーと、文化・社会的背景の相互関係を多面的に考察し、分析フレームワークおよび分析結果などの研究のまとめをする。言語や文化・社会的背景が異なる日英の、多様なデータを詳細に比較することにより、社会問題に関するテレビニュースのディスコースによるイデオロギー構築の仕組みを明らかにする。
|
Causes of Carryover |
平成26年度の収支状況について、次年度使用額の1,707円は、予定していた物品(データ記憶メディア)の購入が遅れたために生じたものである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費は、テレビニュースのデータの収集、メディア・ディスコース分析の研究動向調査、成果発表のための旅費として使用する。また、データ分析のために、メディア・ディスコース分析関連図書およびデータ記憶メディア等の購入のための物品費として使用する。また、外国語論文の校閲費用として謝金を使用する。
|