2013 Fiscal Year Research-status Report
日本「農村社会学」の再検討――ポスト「家・村」理論の構築に向けて――
Project/Area Number |
25380693
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
矢野 晋吾 青山学院大学, 総合文化政策学部, 教授 (00344341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三須田 善暢 岩手県立大学盛岡短期大学部, 国際文化学科, 准教授 (10412925)
福田 恵 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (50454468)
高田 知和 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (70236230)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会学 / 農村社会学 / 学説史 / 社会調査 |
Research Abstract |
本年度は7回にわたり研究会を開催し課題について議論を行った。 ①研究計画の立案(20130414)、②高田知和「中村政則『経済更正運動と農村統合――長野県小県郡浦里村の場合――』論文検討」(20130518)、③牧野修也「山形県の農山村における生活記録運動の出発(1)――山形県旧置賜郡南原村綱木青年学級の事例――」(20130923)、④三須田善暢「高橋明善論文の報告」(20131020)、⑤全員の課題進捗状況報告及び今後の研究計画の立案・矢野晋吾「草創期『農村社会学』における問題意識の検討――小河原忠三郎・森賢隆の研究を通じて――」、三須田善暢「新渡戸稲造の農業論における日本農村社会学への示唆――地方学、都市農村関係論、農工商鼎立論に注目して――」、牧野修也「戦前期日本農村社会学形成の過程――竹内利美の事例を手がかりに」、高田知和「那須皓論(1)」、福田恵「北川隆吉編『有賀喜左衞門生成最後の講話』」レビュー(20131222-23)、⑥牧野修也「似田貝香門「共同態」論と歴史認識――日本農村社会学を素材にして――」論文の検討①(20140211)、⑦)牧野修也「似田貝香門「共同態」論と歴史認識――日本農村社会学を素材にして――」論文の検討②・及び来年度研究計画の策定(20140310)、である。 加えて当初の計画に基づき、戦前期農村社会学の系譜を踏む研究者へのインタビュー調査を行った。 柿崎京一先生(東京教育大学有賀喜左衞門研究室)第1回聴取調査(20130807-08)、笹森秀雄先生(鈴木栄太郎研究室)聴取調査(20130205)、柿崎京一先生(東京教育大学有賀喜左衞門研究室)第2回聴取調査(20140225)。 なおインタビュー調査内容は、文字データに変換し、記録として活用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、4つの課題を設定して研究を積み上げていく計画である。課題は①有賀・鈴木が確立したいわゆる日本「農村社会学」の前史を再検討すること(有賀・鈴木以前の課題の摘出)、②有賀・鈴木の視角の再検討(直接指導を受けた関係者からの聴取調査、当時のモノグラフの現地調査からの再検討、雑誌や新聞等のドキュメント資料の分析を含む)、それらを踏まえて、③明治以降の農山漁村における社会学的研究の課題と視点を整理し、現代及び今後の農村研究への新たな課題と分析枠組みを提示する、④聴取調査資料等のアーカイブ化への準備、である。 2013(平成25)年度には、上記のうち①の分析、②の資料収集を中心に研究を進める計画であった。 ①については、科研費交付以前に隔月で行ってきた研究会の頻度を上げて、7回の研究会を開いて議論を深めることが出来た。 ②については、当該年度に関係者への聴取調査を行う。具体的には、有賀喜左衞門に直接指導を受けた柿崎京一氏、鈴木栄太郎の指導を受けた笹森秀雄氏へインタビュー調査を実施し、記録の整理を始めている。 ただし、当初予定していた、有賀・鈴木・竹内らが依拠したモノグラフの対象地(岩手県二戸郡石神村・長野県旧東筑摩郡本郷村など)へ赴き、現地での聴取調査・資料収集を通して彼らが何を見ようとしたのか、現在から見て何が見失われているのか、等を再検討するという計画は、来年度以降へ繰り越しとなっている。その理由は、現地調査実施の準備を十全に行うため、研究会においてその方法を精査していること、及び対象者の健康問題などのために、インタビュー調査を優先して実施したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、前項で記したとおり、4つの課題を設定して研究を積み上げていく計画である。平成26年度は①の作業を継続するとともに②の分析及び現地調査と④の準備作業を中心に研究を進める。 ①については、各自の分担部分の分析を前年に行うが、本年度はそれを踏まえて明らかになった課題について議論して検討するとともに、新たな課題が生じればそれを分担して分析を行う。 ②については、平成25年度に引き続き、聴取調査を行い、得られたデータの文字化を実施する。前年度、インタビュー対象者が高齢のため、健康問題が生じる経験をしたため、この課題については、早急に進めて行く方針である。 また、既に文字化したデータの分析を行い、新たに浮上した課題について、文献資料を改めて蒐集・分析しながら、当時の状況を多面的に検討していく。必要があれば、補充の聴取調査を実施しながら、往事の研究者が抱いていた問題関心について当時の社会状況に照らしながら位置づけを行う。加えて、有賀・鈴木・竹内らが依拠したモノグラフの対象地における聴取調査・資料収集を継続する。そして、「農村社会学」を確立する際、優先された問題関心と捨象されたそれを析出し、現代の農山漁村研究への視点を模索する。 ④については、前年に得られたデータの整理を進め、アーカイブ化への課題の析出を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インタビューデータテープ起こし作業が、若干遅れたためその分の未使用が生じた。 インタビューデータ起こし作業への費用に充当。
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Research Products
(10 results)