2014 Fiscal Year Research-status Report
ローカルニュースの現状と役割に関する研究:内容分析と送り手調査から
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25380696
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
深澤 弘樹 駒澤大学, 文学部, 准教授 (70584499)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地域ジャーナリズム / ローカルニュース / ニュースキャスター / 当事者ジャーナリズム / ニュースの娯楽化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、25年度に行った地方局アンケートを集計し、その結果を協力してくれた28社に送付した。さらには、映像協力に了承していただいた地方局5社から9月に放送された夕方のニュース映像1か月分を提供してもらい、内容分析に取り組んだ。また、上述のアンケート結果に考察を加え、大学の紀要で論文を発表した。 このうち、地方局アンケートからの知見を以下にまとめる。まず、地域報道の意義について聞いた項目については、ジャーナリズムで重視される「権力監視」や「客観性」に加えて、「地域の問題の掘り起こし」や「弱者・少数者の視点」が重要視されており、住民に寄り添う「当事者ジャーナリズム」を志向している点が明らかになった。 また、ニュースキャスターについては、男女一組で伝える形式が一般的であり、年齢は男性の平均が42.6歳、女性が30歳と男女で12歳以上の開きがあった。キャスターに求められる資質としては、「アナウンスの基本技術」に加えて、「バランス感覚」や「幅広い教養」が重視されていた。さらには、視聴者に与える印象として、「安定感」「安心感」「親しみやすさ」が求められ、ローカルニュースのキャスターとは、権力を監視する役割というよりも、視聴者にとって身近で信頼される存在として位置づけられていた。女性キャスターについては、「やさしさ」や「生活感」など視聴者に愛される存在であることが求められていた。 「今後のローカルニュースのあり方」については、「ローカルであること」を強く意識した回答が目立った。「地域に根差した報道」「地域とともに悩み、考え、行動するニュース」など、市民と直接向き合うローカル局ならではの回答が寄せられた。 以上を踏まえ、平成27年度は提供してもらった映像の内容分析と並行してインタビュー調査を進め、地域報道の意義について探るつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来は平成26年度に終える予定であったニュース映像の内容分析が年度終了時点で継続中となっている。これは、地方局からのニュース映像の提供が9月と年度後半になってしまったことが要因である。提供してもらう映像を9月に設定した理由は、選挙や五輪などニュースで長時間取り上げられるトピックがあると通常の番組構成とは異なる可能性があるためであり、できるだけ日常のニュースの構成を確認するために比較的通常の編成が見込まれるこの時期に設定した。 このほか、平成25年度に行ったアンケート結果のまとめと、その成果を発表する論文執筆に追われ、年度後半に内容分析に十分に取り組むことができなかったことも理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、当初の予定である聞き取り調査と平成26年度に終える予定であった内容分析を並行して行う。ニュース映像の内容分析は本年度前半に終えるつもりである。また、聞き取り調査については、昨年度中にすでに2局を終えており、それ以外の局について今年の夏以降、順次調査を進めていく。目標とする放送局数は10局程度であり、報道の統括・責任者、ならびにニュースキャスターに聞き取り調査を行う予定である。平成27年中に聞き取り調査を終えてその結果をまとめていきたい。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、積極的に放送局に出向いて前倒しで聞き取り調査を行う予定であったが、前年度からの遅れが響き、アンケートのまとめと論文執筆、ニュース映像の収集に追われる結果となった。そのため、当初計画していたように地方局に赴くことができず、旅費と人件費・謝金を消化することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、地方局を対象にした聞き取り調査を積極的に行い、できるだけ前倒しで進めていきたい。5月以降、各局と連絡を取り合って日程の調整を進めて、夏の長期休暇前でも調査に出向き、インタビューデータを収集する予定である。夏休みをインタビュー調査の最終段階と位置づけ、できる限り夏休み中に調査を終えて分析・考察に取り組む予定である。
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