2015 Fiscal Year Research-status Report
ローカルニュースの現状と役割に関する研究:内容分析と送り手調査から
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25380696
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
深澤 弘樹 駒澤大学, 文学部, 准教授 (70584499)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地域ジャーナリズム / ローカルニュース / ニュースキャスター / 当事者ジャーナリズム / ニュースの娯楽化 / キャスターの語りかけ / 放送の中立・客観性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ローカルニュースの現状とキャスターの意識について探り、地域ジャーナリズムのあり方を考察するものである。平成27年度は地方局を回って聞き取り調査を行うとともに、前年度に収集したローカルニュースの映像分析を行ってその結果を論文にまとめた。なお、当初の予定では平成27年度が最終年度であったが、調査結果のまとめに時間を要しており平成28年度まで研究を延長することとした。 研究実績について、まず映像分析の結果についてまとめる。分析対象は地方局6社において2014年9月に放送されたニュース映像20日分であり、この映像を視聴して内容分析を行った。具体的には、毎日のニュースを項目別にジャンル分けしてハードニュースとソフトニュースの項目数や所要時間、比率を明らかにしたほか、キャスターの「語りかけ」の傾向を分析した。その結果、局によってばらつきがあるものの、項目数や所要時間においてソフトニュースが占める割合が5割から6割程度であることが分かった。 また、キャスターの「語りかけ」については、頻繁に用いられている局とストレートニュース中心の局に分かれる傾向があった。全体の項目数に対する比率が最も小さい局は7.4%であったが、50.2%とニュース項目の半分以上で「語りかけ」が確認できた局もあった。ただし、キャスターが語る内容については、感想や情報付加が多く、キー局のキャスターに見られるような「自己主張」をし、政治的なトピックについてコメントする例は見られず、よりバランスを重視している姿勢がみて取れた。 聞き取り調査については、5社の計17人に調査を行い、地域ジャーナリズムのあるべき姿を聞いた。このデータの本格的なまとめと分析については平成28年度に行うことになる。28年度は、引き続き地方局の報道担当者とキャスターのインタビュー調査を行うとともに前年度のインタビューデータのまとめを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、1年目にアンケート調査、2年目にニュース映像の収集と内容分析、3年目にインタビュー調査と最終的なまとめを行う予定であった。しかしながら、2年目の映像分析が3年目にずれこみ時間を費やしたことに加え、その分析と並行して地方局でのインタビュー調査を行ったため、データのまとめに遅れが生じた。また、予定していたインタビュー調査についても全ての局に出向くことが難しく年度内に終了することができなかった。そのため、平成27年度までとした研究期間を1年延長して平成28年度まで行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、前年度に訪れることができなかった地方局に赴いて報道担当者とニュースキャスターのインタビュー調査を行う。それと同時に、平成27年度に行ったインタビューのデータの文字起こしと分析も合わせて行い、平成25年度から取り組んできた研究の総まとめを行う。調査対象となる放送局については、すでに数社から本年度内のインタビューに了承を得ているが、それ以外にも可能であれば何社かにアプローチして調査対象を広げていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成27年度は地方局をまわって聞き取り調査を行った。しかしながら、研究代表者が調査に出向くことが可能な日程が長期休暇に限られていることから、当初予定していた地方局すべてを回ることが困難であった、そのため、旅費と謝金の使用額が当初の予定を下回る結果となった。また、インタビューデータの文字起こしも遅れており、その分の支出も次年度に持ち越しとなったことが次年度使用額が生じた主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、前年度に引き続いて地方の放送局に出向いてインタビュー調査を行う。現在のところ3社とは合意を取り付けているが、他の放送局にもアプローチして調査対象を広げるつもりである。その際の旅費、謝金として助成金は使用する。 また、インタビューデータの文字起こしと分析も行う。理論的な後ろ盾となる地域ジャーナリズムのあり方の文献も購入して理解を深めると同時に、研究の最終年度として全体のまとめを行う。できる限り有益な研究になるよう助成金を有効に活用していきたい。
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