2015 Fiscal Year Annual Research Report
農村社会の持続的発展と村落自治―ジャワ農村の地方分権化と村落行政組織再編の研究―
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25380708
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
黒柳 晴夫 椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (80097691)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地方分権化 / 民主化 / 村落自治 / 地方行政法 / 隣組 / ジャワ農村家族 / 親族組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
21世紀に入って、農村開発モデルとしてR.チェンバース(Robert Chambers)やF.エリス(Frank Ellis)らに代表されるライブリフッド・アプローチ(Livelihoods Approach)が注目されるようになった。これは、ポスト農業生産中心主義の視点に立つもので、農村住民の生活向上は、農業生産活動のみならず、非農業生産活動および農村生活の質的向上を通じて達成されるものである、とするものである。本研究はジャワ農村社会の持続的発展をこのような農民生活中心主義の立場から、とりわけ民主化の浸透に注目しながら考察しようと取り組んできたものものである。そのためには農村住民が主体的に村落行政、村落自治に参与できる仕組みの組織化が不可欠である。このような研究課題の下に、本年度は次の2点の調査研究を中心に取り組んできた。 (1)まず、初年度から取り組んできた村落行政の民主化の実態を分析するとともに、問題点を析出することである。具体的には村落協議会の構成と運営、村長の選出と村落行政、そして隣組の組織と運営の分析を行った。その成果は、日本村落研究学会で「インドネシアにおける2004年地方行政法下の村落自治と村長選挙」として口頭発表した。 (2)スハルト退陣とともに地方分権化と民主化が進められてきた中で、その主体的な担い手たる農村住民の生活実態を分析するために、昨年度から調査集落を選定して調査票による世帯調査を実施してきた。本年度はそのデータの分析に取り組んできた。その結果、たとえば生活基盤をなす農業の複合化や兼業化が進んできたこと、生活空間が村落や行政村の外に拡大してきていることなどが明らかになった。それらの成果の一端を「ジャワ農村の家族と親族組織」にまとめて大学の研究論集に発表した。
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