2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the implementation of the Convention on the Rights of Persons with Disabilities
Project/Area Number |
25380717
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長瀬 修 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 教授 (60345139)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 障害学 / 人権 / 国際条約 / 差別 / 障害者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年に想定されている、障害者権利条約の初回日本審査に向けて、研究最終年度として、成果の取りまとめに注力した。5年間にわたる本研究の集大成として『障害者権利条約の実施』(長瀬修・川島聡編、信山社)を2018年夏に刊行する。 本年度は、国連非加盟国として国連外の独自の枠組みで条約実施を進めている中華民国(台湾)に関する研究会を2回、開催した。講師には台湾の障害者政策の専門家(博士課程在籍中)を迎え。台湾と知的障害者をテーマとして、2回開催した。また、条約実施の課題の国内外の課題を探るために、中国(条約第32条の国際協力と中国政府の一帯一路政策)、マカオ(マカオの知的障害者本人活動グループ)、青森(条約第19条の地域生活の実施と、東京の障害者の「都外施設」)への出張を実施した。 なお、研究代表者は中華民国政府の招聘により、障害者権利条約の同政府の初回審査に委員長として携わり、2017年11月に同政府に対して総括所見(勧告)を出すという条約の実施に取り組む貴重な経験をしたが、これは同時に本研究とも密接に関連する稀有なフィールドワークの機会でもあった。国連の人権条約の審査体制には多くの批判があるが、障害者権利条約の実施を通じて障害者の権利保障、とりわけ審査(検討)に関して台湾の独自の取り組み(濃密な実質的「対話」など)が国連の審査の参考になる点もある。 本研究の成果を広く国際的に共有する機会として、2017年12月にミャンマー、2018年3月にシンガポールにおいて、障害者組織、市民社会組織と協力して両国の審査に向けてのワークショップを実施した。国内においても、2018年1月に日本障害フォーラム(JDF)の全国フォーラムにおいて特別講演という形で共有した。本研究はひとまず終了したが、その成果を国内外において、今後の条約実施と審査において活用すべく最大限の努力を続ける。
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Research Products
(17 results)