2017 Fiscal Year Annual Research Report
The sociological research about the history of women and management
Project/Area Number |
25380725
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
荒木 康代 大阪経済法科大学, 経済学部, 教授 (10580243)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 女性 / 経営 / 商家 / 生活 / 日記 / ジェンダー / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である本年度は、研究の集大成として、これまでの研究のまとめを行うとともに、その成果として報告書及び資料集を印刷、刊行した。すでに2017年3月に昭和2年の杉村久子日記の全文翻刻を印刷、刊行したところであるが、今年度は、その補足調査を行うとともに、内容についての詳細な分析をした。第一に、日記解読に欠かせない杉村家及び久子の実家である五代家の親戚関係についての調査である。日記筆者の孫であり、本研究の協力者でもある稲岡氏の尽力によって、杉村家をとりまく親戚関係について詳しく知ることができた。親戚関係が日々の生活に色濃く影響していた当時の人々について知るうえで、また日記内容について深く理解するうえで、非常に貴重な成果であった。第二に、当時の社会的な背景について調査である。このことによって、杉村家の人々の生活のみならず、当時の「家」のありようと時代背景が杉村家の人々の生活にどのように左右していたのか克明に知ることができた。 また、同時に杉村家の番頭であった杉山氏の手記についても翻刻・分析し、印刷、刊行した。同手記からは、商家における番頭と主人の関係について詳しく知ることができた。技師として入店したにも関わらず、仕事の内容は家と店が混然とまじりあっている商家の番頭と変わらない部分が多々あった。産業化、近代化が進む一方で、商家には旧来通りの主人番頭関係が色濃く残っていた。日記からはこのような日々の業務や、それについての複雑な杉山氏の心情をうかがい知ることができた。 本研究からは、店と家の分離が進む一方で、旧来の制度や生活、心情が根強く残っている様子が日記及び手記から詳しく観察されたのである。
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