2014 Fiscal Year Research-status Report
国境の島与那国の権力構造と移住者主体の地域活性化による共同体の変容
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25380730
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Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
宮城 能彦 沖縄大学, 人文学部, 教授 (40229810)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 与那国島 / 移住者 / 国境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、与那国島における町長や町議会選挙において顕著に見られる島の権力関係を明らかにしていくために、引き続き聞き取り調査を行った。また、与那国島出身者で島外に住む方々からも島の現状に対する意識についての調査を実施した。さらに、西表島や竹富島においても、与那国島と比較する形で主に島の権力関係についての聞き取り調査を行った。 本年度は特に、自衛隊基地建設における住民投票が行われたことや、前年度に実施された町議会選挙で与党と野党議員が同数となったことによって、政治や行政に関する島民の意識が二つに割れ、人間関係がより複雑化するという状況になった。 いわゆる「移住者」の島に対する思い入れや愛情と島民の価値観にずれがあり、そこから島民の移住者への不信感が生じている。それが根強いという地域性があるところに、さらにそれが、自衛隊基地賛成・反対の政治的価値観や行動とも複雑にからまっている。本年度の調査によって、それらのからまり方がより具体的に見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
与那国島での聞き取り調査や島外に移住した与那国島出身者からの聞き取り調査、また他の島嶼での調査をほぼ当初の予定通り実施することができた。 その中間報告を、日本島嶼学会および島嶼コミュニティ学会において発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの調査は予定通り進んでいるため、次年度も予定通り調査を進めていく。島で生活するそれぞれのグループにおいて、あるいは個人で、なぜ自衛隊誘致なのか(あるいはそれに反対なのか)、なぜ台湾との直接交流なのか、島の生活を守るために何が必要で何をすべきだと考えているのか、島の将来をどのようにイメージしているのか等について、表層的な部分だけでなく、その生活史や精神史、島の伝統的な価値観と現状認識などの視点から、多角的に共同体の変容過程を明らかにしていきたい。さらに、与那国島以外の島との比較を通して、特殊与那国島的なものと島嶼それぞれに共通する部分をも明らかにしていきたい。
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Research Products
(2 results)