2015 Fiscal Year Research-status Report
イヌを介在した社会復帰教育が受刑者の社会性に及ぼす影響
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25380735
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
甲田 菜穂子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90368415)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会福祉関係 / ストレス / コミュニケーション / 動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
知的障害、精神障害を持つ受刑者を対象とした日本初の市民参加型の訪問型イヌ介在プログラムを発展させ、社会復帰のための更生教育におけるイヌとの触れ合いが、受刑者のストレス、感情やコミュニケーションスキルに与える影響を検証し、プログラムの構造を明らかにすることが、本研究の全体の目的である。質問紙調査の内容は、クール前後の対象者のストレス反応と自尊心の測定、毎回の実践のセッション前後の気分測定、毎回のセッション後の自己評定、ハンドラーによる行動評定である。同時に、実践側への福祉的配慮として、毎回の実践後にイヌの行動評定とハンドラーのストレス自己評価も実施し、過度な負担がかからないようにプログラムのモニタリングを行なった。 当該年度では、改良された実践プログラムとその記録方法、実践チームの技能向上(ハンドラー、イヌ、チームワーク)が円滑に行なわれたことを確認した。そして、各セッションで上がって来た記録の分析を行なった。プログラムは概ね評価できる結果であったが、経時的効果や対イヌ行動と対人行動の適切なバランスに関して、今後の検討課題となった。これらの結果は、次年度に開催される国際学会にて発表予定である。 これまでの実践に参加した対象者とハンドラーによる実践評価に関する質問紙調査結果と、プログラムが参加犬に与えた影響についての分析結果が英語論文で公刊された。プログラムの対象者への効果に関する結果についての論文は、査読を終え、国際誌への掲載が決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの懸念事項の幾つかが好転し、より研究へ精力を注ぐことができ、作業効率が上がったと感じている。論文執筆や次年度に多く予定されている学会発表への準備も順調に行なうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当該助成事業の最終年度にあたり、実践とデータ収集と分析、その総まとめを行なうことを目指す。他施設や他の研究者との情報交換ならびに意見交換を行ない、本プロジェクトの今後の発展についても積極的に可能性を開拓して行きたい。学会発表、英語論文の執筆、投稿を行なう。
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Causes of Carryover |
研究対象施設の事情や当該助成事業の開始時の大学での業務負荷のため、予定通りに作業を進めることができず、未執行予算の積み残しがあった。また、当初、必要になると予測していたコンピュータ類の買い替えを次年度に先送りした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、当該助成事業の最終年度でまとめの時期にあることに加え、重要な国際学会も複数開催される。海外渡航を含む学会参加費・旅費、発表準備のための英文校閲代の支出が予定されている。学生を謝金で雇用して、資料整理やデータ分析を効率的に進めたいと考えている。また、最新版の性能の良いコンピュータ類を購入し、作業効率を上げ、安全性を高めたい。英語論文も執筆し投稿する予定であり、英文校閲代や投稿費、掲載された場合は掲載料も発生することが見込まれる。
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