2014 Fiscal Year Research-status Report
発達障害児の家族の支援システム構築に向けた生活実態解明に関する研究
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25380741
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 亜紀子 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (40442438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根來 秀樹 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (80336867)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 家族福祉 / 育児支援 / 発達障害児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、発達障害児の家族の生活実態を学際的視点から包括的に明らかにすることであり、第1の課題として生活問題の解明、第2の課題として支援環境の解明を設定している。 平成26年度は、(1)まず、家族支援先進国であるイギリスにおいて実施した調査の分析と報告を行った。(2)次に、前年度までの研究から、既に支援環境の脆弱性が明らかになっており、さらに支援環境が生活困難を生じさせている要因となっていることが推定されたため、上記の2つの課題に複合的にアプローチする調査と分析を実施した。 (1)については、調査分析した結果を5月の西日本社会学会で口頭発表した。この中では、ケアラーとしての家族を重層的に支える仕組みについての実態と、それにも関わらずケアラーとしての家族を所与とする状況下でのケアラーの困難さがある実態について指摘した。 (2)については、森岡清志(1984)の論考を参考にしながら、支援環境を専門機関群、相互扶助的提供主体群の2つからなる社会財とし、これら社会財との関わりで生み出される生活困難について、半構造化インタビューのデータより分析を行った。その結果、第1に社会参与のプロセスで生じる生活困難の内容として、母親1人が子育ての責任を抱えこみ孤立しているという問題、第2に社会参与のプロセスで生じる生活困難の多くが子どもの通う学校、幼稚園、保育園との関わりで生み出されているという問題が明らかになった。そしてこの分析結果から乗り越えるべき課題として、第1に母親をケアラーとして当然視するジェンダー構造の打破、第2に発達障害児の教育のあり方の改革をあげた。この分析結果は、日本社会分析学会『社会分析』に論文として掲載された。 引用文献 森岡清志,1984,「都市的生活構造」『現代社会学』18: 78-102.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、発達障害児の家族の生活実態を学際的視点から包括的に明らかにすることであり、第1の課題として生活問題の解明、第2の課題として支援環境の解明を設定している。 平成25年度において実施した発達障害児の母親のグループ・インタビュー調査のデータ分析、家族支援の先進国であるイギリスにおける事例調査に引き続き、平成26年度においては、イギリス調査のまとめと発表、母親1人ずつの半構造化インタビュー調査のデータを分析し、より問題に深く迫ることができた。またこれらの研究代表者(山下)、研究分担者(根來秀樹・奈良教育大学)、研究協力者(河野次郎・県立宮崎病院精神医療センター)が連携協力し、学際的見地から研究を進めた。以上の経過により、平成26年度においても、研究は順調に進捗したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、発達障害児の家族の生活実態を学際的視点から包括的に明らかにすることを目的としている。初年度は、支援環境の実態として、ソーシャルサポートの質的分析とまとめ、また家族支援の先進国であるイギリスにおける事例調査を実施した。2年目となる平成26年度では、イギリス調査のまとめと発表、また支援環境を社会財と位置づけ、社会財との関わりで生み出される生活困難について、半構造化インタビューのデータより分析、まとめを行った。 最終年度となる3年目は、支援環境の実態についての分析をさらに進め、さらに3年間の調査分析のまとめと報告会を行うことを予定している。これらは、これまでと同様に研究代表者(山下)、研究分担者(根來秀樹・奈良教育大学)、研究協力者(河野次郎・県立宮崎病院精神医療センター)が連携、協力によって進めることとしている。
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Causes of Carryover |
平成26年度中に調査実施した分析にかかる研究会を平成27年度にも継続して実施するため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度中に調査を実施した分析にかかる研究会の実施
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Research Products
(11 results)