2014 Fiscal Year Research-status Report
福祉の市場化におけるソーシャルワーク実践のあり方に関する研究
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25380744
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
和気 純子 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (80239300)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 市場化 / 高齢者 / ソーシャルワーク / 介護保険 |
Outline of Annual Research Achievements |
介護の市場によるソーシャルワーク実践への影響について、2013年に実施した介護保険事業所(在宅400ヶ所、施設400ヶ所)の分析をすすめるとともに、主に共同研究者らが実施した韓国ソウルでの調査結果とデータの統合を図り、比較分析を行った。その結果、市場化による両国の差異として、日本では職員確保が最大の困難であるのに対し、韓国では利用者確保が最大の困難となっていること、日本では不正行為はほとんどみられないが、韓国では半数以上がその存在を認めていることが判明した。さらに、日本では介護報酬や介護職員の労働環境の悪化が問題とされているの対し、韓国では低所得者の負担金の支払いが最も深刻な問題と捉えられていた。また、①公平性、②選択性、③応答性、④効率性、⑤サービスの質の5つの指標を用いて、サービス形態別(施設/在宅)および運営主体別(営利/非営利)に市場化の影響を分析した。これらの結果については、日本社会福祉学会第62回秋季大会において報告した。また、介護の市場化による日本の要介護高齢者への影響について、日本老年社会科学会誌に「要介護高齢者の貧困と社会的排除-介護の市場化から地域包括ケアへ-」と題する論考を発表し、貧困な要介護高齢者が住み慣れた地域から排除されるシステムについて考察した。 また、2014年は10年ぶりに国際ソーシャルワーク定義の改訂が行われた。邦訳委員として国際会議における討論に参加するとともに、新しいグローバル定義の日本におけるソーシャルワーク実践や教育における意義および意味について考察し、全国社会福祉教育セミナー等において報告した。とりわけ、ソーシャルワークの「グローカリズム」の重要性や、市場化にみられる新自由主義の進展によって拡大する貧困や格差に対抗するソーシャルワーク実践の必要性を提起した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
介護保険事業所の運営管理者に対する郵送調査については、日韓のデータを統合し、比較分析を実施することができ、結果について社会福祉学会にて報告した。また、「要介護高齢者の貧困と社会的排除」に関する論考を老年社会科学会学会誌に掲載し、当該テーマについて一定の分析を行うことができたと考えている。ソーシャルワーク実践を担う相談員への調査研究が未実施であるため、これは平成27年度に実施したいと考えている。またソーシャルワークの国際定義をめぐっては、日本側邦訳委員として現地での議論に参加し、その成果をもとに日本のソーシャルワーク実践における意味について考察し、全国社会福祉教育セミナー等で報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
介護の市場化が及ぼすソーシャルワーク実践への影響とその課題について、介護保険施設の相談員を対象とする郵送調査を平成27年度に実施する。また、これらの調査研究の結果を論文化して公表する。
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Causes of Carryover |
介護保険事業所への郵送調査のうち、在宅事業所への郵送調査は実施したが、こちらの分析に時間がとられ、介護保険施設相談員への調査準備が終了しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに介護保険施設の郵送先リストの入力は3月~4月にかけて終了した。今後、調査票を確定したうえで予備調査を実施、あわせて倫理申請を通過させ、9月中には調査を実施し、年内をめどに基本的な分析を終了させる予定である。
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Research Products
(5 results)