2015 Fiscal Year Annual Research Report
デジタルメディアを活用した多文化ソーシャルワーク実践モデルの構築
Project/Area Number |
25380745
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
舟木 紳介 福井県立大学, 看護福祉学部, 講師 (50315842)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多文化ソーシャルワーク / デジタルストーリーテリング / オーストラリア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、これまでの研究成果の総括のために、国内外の研究者や実践者との研究交流を通じて、新たな多文化ソーシャルワークの実践モデルを開発に向けた取り組みを行った。これまで3年間で制作してきた主にDST作品を福祉や教育に関わる実践者や社会福祉を学ぶ大学生に公開する上映会を開催し、作品についての印象やデジタル作品の活用の意義に関するアンケート調査を実施した。調査結果から、DST作品を鑑賞した参加者らは、上映会を通じて、作品を制作した社会的なマイノリティ当事者(外国人や知的障害者など)の暮らしや考えていることに対する理解が深まり、当事者とのつながりの構築へ効果があったことがわかった。 また、オーストラリアでの訪問調査での成果の一つが、デジタルメディアを活用したコミュニティアート・文化開発とソーシャルワークの協働実践の可能性である。オーストラリアのコミュニティアート・文化開発は、アーティストやコミュニティ住民らが、アートやデジタルメディアを使って自己表現し、個人や集団の文化的能力を高めると同時に社会変革をめざす実践であり、人権や社会正義を基盤として社会変革をめざすソーシャルワークのグローバル定義と理念的に大きな重なりがあることが分かった。もう一つが、アートを活用したコミュニティプロジェクトにおける参加者の感情や主観的な幸福感の変化を効果測定するスケールとして、オーストラリア・ディーキン大学のロバート・クミン教授らの研究グループが開発したPersonal Wellbeing Indexを検討したことである。今後のデジタルメディア実践研究においては、この指標を用いた参加者の主観的な感情や自己肯定感の度合いなどについて効果測定を検証し、調査結果を見えやすい形として参加者や地域社会にフィードバックすることによって、ソーシャルワークにおけるデジタルメディア実践の意義を広めてきたい。
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