2014 Fiscal Year Research-status Report
精神保健福祉領域における利用者主導型の職員研修プログラムの開発
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25380748
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松田 博幸 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (30288500)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 職員研修 / 当事者活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、精神保健福祉サービス提供組織をリカバリー志向のものに変えるための利用者主導型の職員研修プログラムの開発を目指すものである。平成26年度においては、海外における当事者が開発し、普及を進めているプログラムに関する情報収集をおこなった。具体的には、アメリカにおいて展開されている当事者運営によるクライシス・センターであるピアラン・レスパイト(peer-run respite)、および、アメリカ、オーストラリア、シンガポールで展開されているクライシス対応の教育プログラムであるエモーショナルCPR(emotional CPR)に関する情報の収集をおこなった。 ピアラン・レスパイトについては、国際的なアドボカシー団体であるマインド・フリーダム・インターナショナルの大会に参加して情報の収集をおこなった。同大会のピアラン・レスパイトの分科会においてはピア・ラン・レスパイトの原理を示した「ピア・レスパイト憲章」(Peer Respite Charter)の案を作成する作業が進められたが、発表された「憲章」案を通して、アメリカの精神障害者当事者運動を通して結晶された価値(自己決定の権利を基盤とする「基本的権利」、安全で心地よい環境を基盤とする「環境的要因」、相互的な関係における人間性の尊重を基盤とする「人びとの関係の質」、当事者体験をオープンにした寛容な人間関係を基盤とする「そこで働く人たちの質」)を明らかにすることができた。 エモーショナルCPRについては、ワークブックの翻訳作業を通して、トレーニングにおける価値と概要を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度においては、精神障害当事者とともにモデルを作成すること、海外における実践例の情報を収集することを目指していた。前者については研究が進まなかったが、一方で、後者については、研究を大きく進展させることができた。とりわけエモーショナルCPRのワークブックの翻訳作業を通して得られた成果は大きい。前者と後者を相殺して、上のような到達度であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカにおいて精神障害当事者たちの手で開発された利用者主導型の研修、エモーショナルCPRの研修を実際におこない、参加者がどのような体験をしたのかを分析する。そして、その結果をもとに利用者主導型研修のモデルを作成する。
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Causes of Carryover |
当事者主導型研修のパイロット的な実施を予定していたが、実施しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の助成金と合わせて、海外から講師を招き、当事者主導型研修をパイロット的に実施する。
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Research Products
(1 results)