2013 Fiscal Year Research-status Report
独立型社会福祉士によるソーシャル・イノベーションに関する実証的研究
Project/Area Number |
25380760
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
小川 幸裕 弘前学院大学, 社会福祉学部, 准教授 (90341685)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 独立型社会福祉士 / ソーシャル・イノベーション / 持続可能性 / 環境整備 |
Research Abstract |
既存の福祉関連サービスでは対応が困難とされる狭間にある課題への対応には、構造変革を視野に入れたソーシャル・イノベーションが有効である。しかし、ソーシャル・イノベーションを志向した実践は、個々人の志や力量に依存している状況にあり、安定的かつ継続的なソーシャル・イノベーションの展開に向けたシステムの構築が早急に求められる。以上から、平成25年度は独立型社会福祉士におけるソーシャル・イノベーションの実態把握を目的としたアンケート調査を行った。 具体的には、まず先行研究からソーシャル・イノベーションの概念および独立型社会福祉士の活動の整理を行い、独立型社会福祉士3名へのインタビュー調査を2回実施し調査項目案を作成した。これらの調査項目案をもとに、独立型社会福祉士5名を対象にプレ調査を2回実施しこれらの結果を参考に調査項目を作成した。調査対象は、日本社会福祉士会会員名簿にて所属先種別コードが独立型社会福祉士に該当する全独立型社会福祉士1017名とした。調査方法は、無記名自記式質問調査を用いた。アンケートで用いた調査項目は、①基本属性、②独立理由、③経営状況、④事業内容、⑤ソーシャル・イノベーションに関する意識、⑥ソーシャル・イノベーションに関する活動、⑦独立型社会福祉士としての役割と活動の課題、とした。調査の依頼は、日本社会福祉士会日本社会福祉士会会員名簿の管理の観点から日本社会福祉士会事務局に発送業務を依頼し、平成26年3月17日から平成26年4月14日に調査を実施した。アンケートの回答数は470、回収率は46.2%であった。2012年に行った独立型社会福祉士を対象とした実態調査の回収率(38.5%)と比較しても高い回収率を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、独立型社会福祉士におけるソーシャル・イノベーションの実態を踏まえ、ソーシャル・イノベーションを志向した実践プロセスの抽出および事例検討から、持続可能な実践に向けたシステム構築の検討を目的としている。研究期間は4年とし、1年目に独立型社会福祉士におけるソーシャル・イノベーションの実態把握、2年目にソーシャル・イノベーションの展開プロセスの抽出、3年目にソーシャル・イノベーションの実践事例の検討、4年目に研究の総括としている。1年目にあたる平成25年度は、独立型社会福祉士におけるソーシャル・イノベーションに関する活動の実態把握を目的としたアンケート調査を行った。 平成25年度内にアンケートの発送から分析までを終える予定であったが、調査の実施時期が予定よりも遅れ、データの集計および分析が平成26年度に持ち越されることになった。実施時期が遅れた理由として、アンケート項目作成のためのプレ調査を複数回実施したこと、回答が得やすいよう独立型社会福祉士の多くが行っている確定申告の時期を外しアンケートを発送したこと、日本社会福祉士会が管理する名簿を使用する上で日本社会福祉士会を調査委託に関する調整が必要であったこと、などがあげられる。 しかし、アンケートの回収率は46.2%と実態把握に必要と考えていた40%を満たすことができたことから、今後のデータ集計および分析から独立型社会福祉士に関するソーシャル・イノベーションの実態を明らかにすることができると考えられる。これらのアンケート結果を踏まえ平成26年度にソーシャル・イノベーションの展開プロセスの抽出を目的としたインタビュー調査を行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度に実施したアンケート調査の集計および分析を行い独立型社会福祉士におけるソーシャル・イノベーションの実態と課題の整理を行う。また、これらのアンケート調査の結果を踏まえ、ソーシャル・イノベーションの実践プロセスの可視化を通して、ソーシャル・イノベーションを可能とする要因の抽出を目的としたインタビュー調査を行う。 インタビュー調査の対象は、平成25年度のアンケート調査において、ソーシャル・イノベーションを展開していると判断された独立型社会福祉士の中でインタビュー調査を承諾している独立型社会福祉士約20名を対象とする。調査方法は、活動地域を訪問し半構造化インタビューを行う。インタビュー項目はアンケート調査の結果およびプレ調査によって作成するが、①独立以前の活動、②独立理由、③現在の活動と課題、④ソーシャル・イノベーションに関する活動と課題、⑤今後の展望、を予定している。インタビューは1回約1時間から2時間とし、インタビューはすべてICレコーダーで録音する。得られたデータはすべて逐語録におこし分析を行う。調査に関する倫理的配慮として、調査の依頼に際して調査対象者に対し事前に調査目的およびインタビュー内容を提示し、再度インタビュー時にインタビュー対象者の権利や保護等を伝える。 平成26年度における具体的な研究の流れは、4月~6月:アンケートデータの集計および分析、7月~2月:インタビューの実施および分析、3月:研究の総括を予定している。平成25年度に行う予定であったアンケートの集計および分析が平成26年度に持ち越されたことで、平成26年度に予定していたインタビュー調査の実施および分析が平成27年度に持ち越されることが予想される。しかし、平成27年度および平成28年度は時間の余裕があることから対処できる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度内にソーシャル・イノベーションの実態把握を目的としたアンケート調査の実施および分析を行う予定であったが、アンケート項目作成に向けプレ調査を複数回実施したこと、回収率をあげるためにアンケートの発送時期を調整したこと、日本社会福祉士会が管理する名簿を使用する上で日本社会福祉士会に調査の委託調整を行ったこと、などからアンケートの発送が予定よりも遅れた。アンケートの発送時期が遅れたことで、平成25年度内にデータの分析を行うことができなく、アンケートデータの集計および分析に使用する予定であったパソコンなどの備品の購入が平成26年度に持ち越された。 平成26年度は、平成25年度に実施したアンケート調査の集計および分析に使用する備品、インタビュー調査を行うための各地域への訪問に要する旅費および備品、研究成果の報告を学会や研究会で行う旅費などで使用する。 具体的には、1)備品:アンケート集計および分析に使用するパソコン、インタビュー調査に使用するICレコーダーや切手・封筒、インクトナーなどに約30万円を使用予定である。2)旅費:訪問調査に係る旅費として約40万円を使用予定である。訪問地域や調査人数などは、①北海道(4名)、②宮城県(4名)、③東京都(4名)、④大阪府(4名)、⑤大分県(4名)の5ヶ所20名を予定している。3)旅費:研究成果の報告に係る会場までの旅費として30万円を使用予定である。予定している学会および研究会は、①2014年度社会福祉学会東北部会、②日本社会福祉学会第62回秋季大会などを予定している。
|