2016 Fiscal Year Research-status Report
特別養護老人ホームにおける介護職員の就業形態の多様性に関する社会学的研究
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25380761
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
菅原 真枝 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (50359501)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 特別養護老人ホーム / 就労形態 / 外国人介護福祉士候補者 |
Outline of Annual Research Achievements |
宮城県内の特別養護老人ホームAに介護職員として従事する外国人介護福祉士候補者および事業所の運営主体に聞き取り調査を実施した。また、介護業務の参与観察をおこない、業務内容、利用者との関係、他の介護スタッフとのコミュニケーション状況、職場環境への適応、日本語学習への取り組み等についてデータを収集した。個別事例として、介護福祉士の国家資格試験に合格しても他県の他事業所へ異動してしまったケースや、結婚や出産を理由に国家資格試験を受験することなく帰国してしまうケースがあった。すなわち彼らのライフコースが、特養における介護労働としての定着の鍵を握っていることが明らかとなった。第二に、国家資格試験のための日本語学習の機会は勤務時間内に提供されるにもかかわらず、当該事業所においては日本語教育を専門におこなうスタッフを配置することができないため、日本語教育支援体制が十分に整っているとはいえない状況であった。日本語教育支援の体制の充実は、本人からも事業所からも強く求められていることが明らかとなった。第三に、彼らは事業所で介護労働に従事する以外には居住する地域において他者(近隣住民)との接点をほとんど持っていなかった。介護労働としての定着は、居住する地域社会への定着とセットにして考えられるべき課題であることがうかがえた。以上の3つを、外国人介護福祉士候補者が特別養護老人ホームにおける介護労働を継続できる主たる要件として導きだすことができた。これに関連して今年度は、外国人の定住地域・非定住地域に関する社会学的研究や、外国人の高等教育問題に関する研究について幅広く情報および資料を収集し、新たな知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
特別養護老人ホームに介護職員として従事する外国人介護福祉士候補者に対するインタビュー調査をおこなってきたが、対象者が介護福祉士の国家資格試験を受験することなく帰国してしまったため、計画どおりの研究遂行をおこなうことができていない。パート労働による非正規雇用の介護職員に対しては、事業所との信頼関係が十分に維持できていないため、計画どおりの調査に着手するには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
調査対象である事業所に勤務するインドネシア人介護福祉士候補者らが母国に帰国してしまったため、インドネシアへ直接訪問し、追加調査をおこなうことを考えている。また、当該事業所の関係者によると2017年度内に新たにインドネシアからの複数の介護福祉士候補者を受け入れる予定であるとのことなので、新しい調査対象者の確保に努めたい。
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Causes of Carryover |
特別養護老人ホームに介護職員として従事する外国人介護福祉士候補者および関係者に対する聞き取り調査をおこなってきたが、対象者が介護福祉士の国家資格試験を受験することなく帰国したため、計画どおりの研究遂行をおこなうことができなかったから。また、パート労働による非正規雇用の介護職員に対しては、事業所との信頼関係が十分に維持できず、計画どおりの調査に着手するには至らなかったから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査対象である事業所に勤務するインドネシア人介護福祉士候補者らが母国に帰国してしまったため、インドネシアへ直接訪問し、追加調査をおこなうことを考えている。そのための交通費として充当したい。
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