2014 Fiscal Year Research-status Report
「里孫」活動(高齢者と子どもの互恵的交流活動)の効果に関する研究
Project/Area Number |
25380769
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
永嶋 昌樹 聖徳大学, 心理・福祉学部, 講師 (80439009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関口 明子 聖徳大学, 児童学部, 准教授 (70439008)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 世代間交流 / 祖父母ー孫関係 / 互恵的ボランティア活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「里孫」と呼ばれる世代間交流活動を“より個別的で継続性のある高齢者と子どもの互恵的交流活動”と定義し、その効果の検証と新たな実践モデルを提唱することを目的としている。 2年目である当該年度は、各実施機関へ出向き、担当者への聞き取り調査を実施した。主な調査内容は、「里孫活動の実施から現在までの経過」「担当者が認識している現時点での課題」「今後の展望」等である。各機関はそれぞれ、所在する地域の特性、機関種別、事業規模、担当者の機関内での位置づけ、実施形態等が異なるため、単純に比較することは困難であった。 ただし、次のような新たな示唆が得られたことは、より有効な交流モデルを検討する上で有意義であると考えられる。 まず第一に、里孫としての子どもを送り出す機関と、対になる高齢者に関わる機関の双方が、活動の目的・意義・理念等を共有していることが重要と考えられること。活動初期においては、対になる機関はそれぞれのメリットを見出しているが、自機関にそれまでのメリットがなくなったりデメリットが生ずることになると活動に消極的になり、活動自体を休止する事例が見受けられた。例えば、子ども側にあまりメリットがない場合でも高齢者の生きがいづくりに貢献していること、高齢者の側にほとんどメリットがない場合でも子どもの発達に寄与していること等を、互いの共通理解としておくことが継続には重要であると考えられた。 第二に、1年間というような必ずしもある程度の期間を経なくても、子どもと高齢者が濃密な時間を過ごすことで、双方に何らかの好影響を与えることは可能であること。「1日里孫」という活動もあり、これは個別的であるが継続性はない。しかし、高齢者宅に一晩寝泊まりし、終日寝食を共にすることでお互いの情緒的交流が図られる。期間は短いが、お互いが交流する総時間数としては他の里孫活動とあまり差異はない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、平成26年度は「里孫」交流モデルの試案を作成し、平成27年度にかけて試行事業の実施する予定であった。本研究は、「里孫」という言葉を使用している世代間交流活動を研究対象としている。その言葉が規定する活動の全体像を把握し、各活動の共通性を見出した上で、まず「里孫」活動の一般化を試みている。しかしながら、そもそも共通基盤が前提でないため、各活動・取り組みの分析に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
効果の検証が遅れており、そのため試行事業の開始には至っていない。今後については試行事業の時期を大幅に延期し、かつ期間を短縮することを検討している。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画が遅れており、当該年度中に実施予定であった試行事業を行うことができなかったため。また、アンケート調査についても、対象者の属性にバラつきが多く、当初の計画変更が必要であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試行事業については期間の短縮を検討しているが、範囲を広める等により当初の使用額はほぼ変更しない予定である。その他の使途についても、大幅な変更はない見込みである。
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