2014 Fiscal Year Research-status Report
わが国におけるソーシャルワーク価値の基礎的研究―仏教者の実践を通して―
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25380770
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
新保 祐光 大正大学, 人間学部, 准教授 (90513432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺沼 太郎 大正大学, 人間学部, 講師 (30365853)
鷲見 宗信 大正大学, 人間学部, 講師 (40646915)
石川 到覚 大正大学, 人間学部, 教授 (50119400)
勝野 隆広 大正大学, 仏教学部, 准教授 (60459253)
吉水 岳彦 大正大学, 仏教学部, 講師 (10709885)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ソーシャルワーク / 価値 / 仏教者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度未実施に終わった、ソーシャルワークの価値と仏教思想の関連についてのアンケート調査をおこなうことが出来た。日本仏教社会福祉学会の許可を頂き、学会員全員に対して郵送調査をおこなうことができた(回答率23.1%)。 アンケート調査の結果から明らかになったことは、①ソーシャルワークの価値を仏教思想にもとづき説明することが出来ると考える人がほとんどであること。②現在のテキスト等で主要な原則としてあげられる、バイスティクの原則(キリスト教思想の強い影響を受けている)には違和感がある人が多いこと。③ただし、ソーシャルワークの価値を仏教思想で説明しようとすると簡単ではないこと(具体的には、詳細な説明を必要とする概念を用いて単語で説明するか、比較的長文の回答になるか)が明らかになった。 ②については、日本において仏教が主要な宗教として歴史的に根ざしてきたことを考えると、ソーシャルワークの原則としてバイスティクの原則のみを教えるのでは、新しいソーシャルワークの定義で強調される「民族や文化」について日本の状況を十分に反映しているとはいえない可能性があることが示された。現在、違和感があると答えた割合が高い原則、および仏教思想を用いて言い換えることが出来るとの回答が多かった項目に特に焦点をあて、検討を深めている。③については、こちらで得たいデータが質問紙調査では限界があることを痛感したため、現在承諾がえられた方にインタビュー調査を開始した。 このほか、仏教系の大学で長年社会事業研究をおこなってきた大正大学の社会事業研究室の歴史を、50年以上の関わりを持つ石川到覚教授から聞き取りをおこない論文としてまとめた。また、石川が仏教ソーシャルワーク試論について論文をまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年度が最終年であるため、まとめる期間を考えると、アンケート調査と集計、追加のインタビュー調査とその内容の整理を今夏(2015)までに終わらせておく必要がある。しかし、現段階でアンケート調査の集計は終わっているものの、インタビュー調査(同意を頂いた方に対するインタビュー調査)がまだ数件しか終わっておらず、その整理まで進んでいない。これに対応して、旅費、逐語録化の謝金、データ共有などの研究費も予定通り使えていない。そのため、(3)やや遅れているとした。 この大きな理由は、インタビューは聴き方によって得られるデータがかわってくるため、インタビューガイドを作成したのだが、実際に使ってインタビューをしてみるとインタビュアーの知識や技量がかなり求められることが分かり、特定の研究者に調査依頼が偏ったためである。さらにインタビュー対象者との都合の関係もあり、インタビュー調査が遅れている。 また、アンケート調査の返送が、締め切り2ヶ月後にも届いたりして、集計完了までに時間を要したこともある。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査の結果に関しては、日本仏教社会福祉学会にご協力いただいたので、まず今秋の大会で結果を報告させていただく。すでに集計も終わっているので具体的に発表に向けて準備をしていく。インタビュー調査に関しては、夏休み中に可能な限り聞き取りをおこない、秋までにはデータ化する予定である。冬期休暇中にメンバーで結果を基にブレーンストーミングを何度かおこない、2月にまとめる作業をおこない、年度内に研究を完了する予定である。
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Causes of Carryover |
2014年度に予定していたインタビュー調査が遅れている。これは、何例かインタビューを実施してみてインタビュアーの知識、聴く力量が不十分だとよいデータがとれないことが判明したため、インタビューをおこなう協力者を限定した。その結果、相手先との都合もありなかなかアポイントが取れず、インタビュー調査が順調でない。インタビュー調査でかかる費用は、旅費、謝金、逐語録化のための委託費、データを共用するための記録媒体や郵送費用と比較的1件に大きな金額がかかる(平均1件6~7万)ため、ある程度の金額が残っている。 くわえて、毎年学務に追われて国際学会に参加できていない。その費用も2年分残ってしまっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
まだ実施していないインタビュー調査11件は、今夏に実施予定である。その場合には上記平均額を参考にすれば、約70~80万程度の執行が行える。また、国際学会への参加も現在学内の調整を行い、可能な限り参加する予定である(今年度はタイ)。くわえて、昨年度資料不足で何件か受理されなかった費用があり、今後は研究費使用のルールをメンバー全員に徹底し、書類の不備がないようにする。
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Research Products
(5 results)