2015 Fiscal Year Research-status Report
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25380780
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
鍾 家新 明治大学, 政治経済学部, 教授 (10281552)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | <在日新華僑> / 福祉の実態 / 福祉意識 / 日本型福祉国家 / 現代福祉国家体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究の目的は、<在日新華僑>の福祉の実態と福祉意識を明らかにすることにある。研究過程において、個性的な事例に関する聴き取り調査は本研究テーマを明らかにするにはより有効である。そして、平成27年度では、引き続き、聴き取り調査を中心に研究を進めてきた。 <1><在日新華僑>の調査対象のなかで、障害をもつ方もいる。人の紹介によって、障害をもつ<在日新華僑>に対して、長時間の聴き取り調査を行った。障害者という視点から、日本の福祉制度の現状・問題点に関する彼の語りは、本研究にとって、極めて有意義であり、これまでの先行研究では発見されなかった多くの研究視点のヒントが含まれている。 <2>また、新華僑を多く送り出してきた中国広東省広州市において、政府機関の担当者たちには華僑に関する政策の最新の動向、中山大学の研究者には現在の中国での華僑研究の動向を中心に聴き取り調査を行った。 <3>本年度では、当該研究とこれまでの研究を総括し、単著である学術書『社会凝集力の日中比較社会学―祖国・伝統・言語・権威』(2016年、ミネルヴァ書房)を出版することができた。<在日新華僑>に関する研究を日中両国の社会凝集力という新しい視点で位置づけた。 <4>つぎの学会で発表・講演し、多くの研究者からの評価・助言をえた。①2015年6月13日、駒沢大学で開催された第24回国際アジア文化学会で、「日本型福祉国家における福祉の適応対象の順番からみる在日新華僑の位置」というテーマで発表した。②2015年6月21日、電気通信大学で開催された第13回日中人文社会科学学会で、特別講演者として招待され、「在日の老華僑と新華僑の福祉問題からみる現代福祉国家体制の特徴と限界」というテーマで講演した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究はおおむね順調に進展している。主な理由はつぎのとおりである。 <1>個性的な<在日新華僑>の事例にかんする聴き取り調査を行うことができた。障害をもつ<在日新華僑>からみる日本の福祉にかんする研究はまだない。本研究は最初の試みになる。 <2>華僑を送り出してきた広東省における政府機関・研究者への聴き取り調査ができ、現在の華僑の福祉をめぐる中国国内での政策・研究の動向をみることができた。 <3>2015年6月13日の第24回国際アジア文化学で研究成果を発表し、2015年6月21日の第13回日中人文社会科学学会で、招待講演を行った。多くの参加者から評価・コメント・質疑をもらい、当該研究の今後の論文執筆などのまとめにとって極めて有意義なヒントをえた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究はつぎのように進める予定である。 <1><在日新華僑>の福祉の実態と福祉意識について、引き続き聴き取り調査を行う。 とくに、個性的な生活史をもつ<在日新華僑>をさらに探し、調査を行う。 <2>日本国内や海外の研究者との討論会やシンポジムを開催し、自分の研究成果を発表し、今後のまとめにためになるヒントをもらう。 <3><在日新華僑>の福祉の実態と福祉意識について、福祉社会学の視点からまとめる。
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Causes of Carryover |
<在日新華僑>の福祉の実態と福祉意識に関する調査は<在日新華僑>の個人の生活史など私生活にかかわる内容が多い。<在日の老華僑>と異なり、<在日新華僑>は私生活を触れたくないという意識が強い。そのため、聴き取り調査など、調査に応じてくれるケースが限定されてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
<1>今年も引き続き<在日新華僑>の福祉の実態と福祉意識にかんして、聴き取り調査の対象を探し、調査を行う。 <2>国内や海外の研究者との検討会・シンポジウムを開催し、自分の研究成果を発表し、全体のまとめに役立つヒントをもらう。
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Research Products
(3 results)