2013 Fiscal Year Research-status Report
地域福祉計画における市町村行政と社協の合同による地域福祉アセスメント方法の研究
Project/Area Number |
25380797
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
朴 兪美 日本福祉大学, アジア福祉社会開発研究センター, 主任研究員 (10533383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 博志 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (60336815)
平野 隆之 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70183580)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地域福祉 / アセスメント / 共同 / 場の形成 / 組織化 |
Research Abstract |
本研究は、市町村行政と社会福祉協議会が合同で行う地域福祉アセスメントの方法を開発し、地域福祉計画策定プロセスへの適用可能性を探る実践的な研究である。それ故、本研究は、単なる地域診断としての地域福祉アセスメント研究ではなく、地域福祉計画研究としての性格をもつ。 初年度の作業としては、地域福祉計画の推進条件としての人的資源の形成に注目し、地域福祉アセスメントという分析的作業がそのような人的資源を形成するツールとなることを明らかにした。具体的には、地域福祉計画における策定準備過程・策定過程・進行管理過程という段階を分けて、その段階ごとに、地域福祉推進の人的資源が形成されていく方法として、共同アセスメント方法を示した。 策定準備段階では、外部人材の投入をきっかけとして共に行うアセスメントが、当該地域の内部人材である行政・社協・専門職等の相互作用を高め、地域福祉推進に向けた共通認識の形成を促進した。計画策定の推進段階では、行政・社協の共同事務局の中で、共同アセスメントが行われ、事務局体制の構築につながっていった。進行管理段階では、計画の実施とともに、計画実施にかかわる幅広い職員間のアセスメントの共有が求められ、計画の実施に向けた職員間の方向合わせを進めていった。 こうしたことから、地域福祉における共同アセスメントは、場の形成といった一種の組織化のきっかけを提供するよいツールであるといえる。つまり地域福祉の推進条件である人的資源の形成につながるツールとして、地域福祉アセスメントの意義を示すことができる。組織化が前提とされているアセスメントは、地域福祉独自のアセスメントともいえよう。このように組織化のプロセスを重視する地域福祉アセスメントの独自性を明らかにする点で、海外調査も実施し、比較検討も試み始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域福祉計画におけるアセスメントに着目しているため、計画に関連した取り組みを行っている地域に関わりながら、調査を実施している。既存の事例を中心に横断的な分析を試み、プロセス重視の地域福祉計画に求められる、ツールとしての地域福祉アセスメントを示すことができた。なお、新たな先行事例の収集を実施し、現場の実務者(職員)とともに定期的に研究会を開催することになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
地域福祉アセスメント方法の精緻化とともに、具体的な方法の示し方としてアセスメント方法の体系化をはかっていく。具体的な推進方策は次の通りである。 1)文献調査を行い、コミュニティに着目した分析方法について、地域看護等の隣接学問にまで視野を広げて調べていく。 2)現地への事例調査として、高島市社協の計画策定プロセスに定期的にかかわっていくフィールドワークを行う。なお先行事例調査としても現地調査を継続していく。 3)現地調査とともに、現地ワークショップの一環として、現場の実務者(職員)との研究会の場等を設けていく。 4)全体研究会を定期的に開き、上記の1)2)3)の内容をもって、地域福祉に求められるアセスメントの内容について議論を深めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フィールドワーク調査を多く行ったため、研究会における「専門的知識の提供」にかかる経費が抑えられた。 隣接学問等に視野を広げ、幅広い文献の資料収集を行うため、図書費に充てる。 また、謝金においては、定期的な研究会の場に多くの現場職員を招聘し、「専門的知識の提供」を受けるため、今年度の研究費と合わせて使用する予定である。
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