2015 Fiscal Year Annual Research Report
「ベトナム難民」の「定住化」促進支援-環境との交互作用促進の支援に焦点化して
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25380798
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
荻野 剛史 東洋大学, 社会学部, 准教授 (00410861)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ベトナム難民 / 定住化 / 環境 / 交互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ⅰ.平成27年度の実績:平成27年度は本研究の最終年度である。これまでに行ってきた滞米ベトナム難民・滞日ベトナム難民に対するインタビューの結果について、以下の事柄を行った。 ・滞米ベトナム難民に対するインタビューの結果に関して:(1)論文投稿:インタビュー結果をもとに論文を執筆し、難民保護に関する専門誌に投稿したが、査読の結果不掲載となった。(2)先行研究レビューの精緻化:(1)の結果を受け見直したところ先行研究レビューの不足が考えられた。それゆえ国内外の文献を再度収集し、レビューした。(3)結果図の精緻化:(1)の査読でM-GTA(修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ)の結果図に対する指摘を受けた。それゆえM-GTAを用いて博士論文を執筆した経験のある研究者からスーパービジョンを受け、精緻化を図った。 ・滞日ベトナム難民に対するインタビューの結果に関して:これまでに行った滞日ベトナム難民に対するインタビュー結果から、定住化の促進に対して影響を与えていると考えられる要因の抽出を行った。 Ⅱ.研究期間全体をつうじた研究成果:本研究では、滞米・滞日ベトナム難民それぞれの定住化プロセスを調査した。滞米ベトナム難民の定住化プロセスに関し、米国での定住開始時点から生活基盤が用意されていたこと、また就学などの時間的な投資ができる環境にあったことなどが明らかになった。一方滞日ベトナム難民のプロセスには、定住開始当初の短期間は施設入所によって安定した生活基盤を得ることができたものの、それ以降は必ずしも安定した生活基盤を確保できたとは限らなかったこと、また一部を除き時間的な投資ができるような環境にはなかったこと、一方で周囲の人々(ベトナム人同胞・日本人)からサポートを受けながら日常生活を送ってきたことなどが明らかになった。
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