2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25380802
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鎮目 真人 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (50285508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城下 賢一 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (70402948)
近藤 正基 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (80511998)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 年金改革 / 政治過程論 / ドイツ福祉国家 / 経路依存性 / 労使関係 / 日本遺族会 / 農協共済 / 恩給制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究会を4回行い、それを通じて年金制度の国際比較研究、日本の政治史的分析、日独制度の政治経済的比較分析を行い、最終年度として研究をまとめた。各人の研究実績の内容は次の通りである。 鎮目は、OECD諸国に加盟諸国の年金制度を取り上げて国際比較研究を行い、それらを8つの年金制度類型に区分した。また、日本の公私ミッスクの変遷を歴史的にとらえ、1980年以降の年金縮減期では政治的言説が改革の成否において重要な役割を果たしていることを明らかにした。近藤は、年金などの社会保障制度がメルケル政権下でどのように変容したのか、その背景にはどのような政治力学が働いていたのかについて考察した。城下は、日本政府が家族/家庭に対して示してきた認識の変化とその背景にある政策変化を分析した。 期間全体を通じての研究実績は、1.公的年金制度による高齢期の貧困の予防(脱貧困化)の仕組みの解明、2.脱貧困化効果の歴史的制度変化の実態把握、3.歴史的制度変化の要因分析を、社会福祉学、歴史学、比較政治学による学際的アプローチによって行ったことがあげられる。1に関しては、高齢期の脱貧困化は国際比較を通じてみると、基礎年金といった高齢期の基礎的生活を支える制度の重要性だけでなく、報酬比例年金や私的年金において公的な規制や補助が低・中所得者層にとって有効に働いているかが鍵になることが明らかとなった。2については、OECD諸国において、1980年代初頭から高齢化社会の進展に伴い、制度の縮減がなされてきたが、特に2000年代初めから非経路依存的な公的年金制度の縮減策がとられていることが浮き彫りになった。さらに3については、そうした非経路依存的な制度改革の実現に際しては、制度改革がなされない場合の最悪のシナリオを回避するための新しい政策のアイディア・政治的言説が大きな役割を担うということが解明された。
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Research Products
(12 results)