2014 Fiscal Year Research-status Report
ひきこもる若者が実践主体となる支援の哲学・方法・制度の研究
| Project/Area Number |
25380803
|
|---|
| Research Institution | Ritsumeikan University |
|---|
Principal Investigator |
山本 耕平 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40368171)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 勉 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (20162969)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
| Keywords | 若者問題 / 若者ソーシャルワーク / 協同実践 / アセスメント |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、「ひきこもり共通アセスメント」の基礎資料収集として、滋賀県愛荘町におけるひきこもり当事者・保護者・実践者を対象としたインタビューを実施した。この結果に関しては、現在分析中である。この分析が遅れている理由は、立命館大学人を対象とする研究倫理審査委員会の審査過程において、この研究手法が根底から困難となる結果が生じた為である。倫理委員会の指摘を受け、現地の支援者と協議し、この研究を①ひきこもり当事者に関しては、調査者からのインフォームドコンセントが可能な事例のみを対象とした。その為、事例が限定され、当初予定した各年齢群での非ひきこもり群との対照研究とならなかった。②家族インタビューを増やし、家族から、子どもと家族の発達史を、“ひきこもり”との出会い、“町発達支援システムの開始”というエピソードとの関わりで聞き取った。③支援者インタビューを実施した。結果、ひきこもり当事者1名、家族4名、支援者11名を対象としたインタビューとなり、二つのエピソードが当事者、家族、支援者の歩みに与えた影響を分析する方法をとることができた。二つの重要なエピソード、つまり“ひきこもり”との出会いと、2010年に愛荘町で開始した発達保障システムとの出会いで生じた変化は、本研究の主たる目的である「ひきこもる若者が実践主体となる支援の哲学・方法・制度」の鍵概念を明らかにするものである。
さらに、支援哲学に関する研究として、研究代表者は韓国におけるCYS-netならびに韓国若者支援と386世代の関係について分析を行い、研究分担者は、中国延辺朝鮮族自治州の留守家族における児童・若者問題とその対処に関する調査を進めている。これらの支援哲学研究は、今後、わが国における若者ソーシャルワークを構築する際、若者問題の社会的・文化的要因を明確にするとともに、支援者が立脚するすべき立ち位置を示すものとなる。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アセスメント研究の実施において、倫理委員会の決定から調査対象、分析手法を変更した為に調査実施時期が予定より遅くなった。しかし、現在、ほぼ分析が終了している為、論文化し報告するまでさほど時間がかからない。その他の哲学、方法、制度に関する研究は計画通り進んでいる。
|
| Strategy for Future Research Activity |
今年度は、まとめの時期である。今年度計画しているのは、次の三点である。①アセスメント研究を進める為に、ひきこもり当事者を主とするインタビュー事例を確保し、ライフストーリーの分析からアセスメント項目の分析を行う。また、②ピアスタッフ養成応用実践力講座を実施し、ピアスタッフと若手支援者の実践力向上を目指した取り組みを実施する。この取り組みを通して本研究の主題である「ひきこもる若者が実践主体となる支援の哲学・方法・制度」を提起することが可能となる③社会的文化的素因を検討する際に、アジア圏で家族主義と競争主義の著しい中国で調査する④イギリスで実施しているCAFが今日有する課題について明らかにする。
|
| Causes of Carryover |
今年度、当初行った調査設計を倫理審査上変更した為に、調査対象者謝礼、テープ起こし等の支出が必要でなくなった為。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、まとめの時期であり、本研究が実践的意義を持つものであることを明確にする為に三つの柱をおく。ひとつは、「ピアスタッフ養成応用実践力講座」の実施である。ここでは、昨年度が困難であったひきこもり経験者のインタビューを行い、アセスメント項目を明らかにするとともに、ピアスタッフと若手支援者の実践力向上を目指した取り組みを実施する。二つ目が、社会的文化的素因を検討する際に、アジア圏で家族主義と競争主義の著しい中国で調査する。三つ目が、イギリスで実施しているCAFが今日有する課題を明確にすることである。CAFの課題に関しては、現地調査とするか、綿密な資料収集とするか現在検討中である。
|
