2016 Fiscal Year Annual Research Report
Aftercare and activity of person conserned children's care homes
Project/Area Number |
25380804
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
櫻谷 眞理子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (50288619)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 児童養護施設 / アフターケア / 自立支援 / 居場所 / 当事者活動 / ピアサポート / 意見表明 |
Outline of Annual Research Achievements |
児童養護施設は全国に601箇所あり、28,183人の子どもたちが生活している(平成26年10月1日現在、厚生労働省家庭福祉課)。そのうち、約6割は被虐待体験を有しており、精神的な不安や葛藤を抱えている子どもも多いが、彼らが施設で暮らせる期間は、原則18歳までなので、特例を除き社会自立しなければならない。しかし、退所後の彼らの生活を支える制度や施策が整っていないこともあり、仕事や生活面での大きな不安を抱えたまま退所する人も多いのである。実際、誰にも相談できずに孤立を深め、離職したり、金銭的に困窮するケースが後を絶たない。したがって、このような状況を改善するためには、アフターケアの充実が喫緊の課題だと考え、面接調査や質問紙調査を行ってきた。 今年度は、施設職員に加え当事者活動を行っている人たちへの聞き取りや施設外の相談機関の職員への聞き取りを行った。さらに、カナダのトロントにおける当事者活動や退所者への支援活動の実態を把握した。 その結果、出身施設とのつながりがあり、いつでも相談できることが退所後の生活の安定を支えていることが確認された。また、そればかりではなく、仕事や住まいを失った退所者へ住居を提供したり、金銭的な援助を行うなど、精神的なサポートに止まらない支援が必要なことも把握できた。こうした支援を施設がどこまで行うのか議論が分かれるところだが、アフターケアを行うことで生活破綻を防いでいるケースもあることが把握できた。なお、施設以外の相談機関も多岐にわたる相談を受けており、様々な対策が求められていることが把握できた。さらに、親と一緒に暮らすことができなかった人たちにとって、同じ体験をした仲間の存在は重要であり、彼らが共に集う居場所の存在も重要性を増していることが把握できた。今後はカナダのトロントにおける当事者活動の分析も加え、アフターケアの方向性についてまとめていきたい。
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