2014 Fiscal Year Research-status Report
地域生活定着支援事業の現状と課題:ソーシャルファームの可能性と地域社会の理解
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25380807
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
浜井 浩一 龍谷大学, 法務研究科, 教授 (60373106)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 司法と福祉の連携 / 犯罪者処遇 / ノルウェー / イタリア / ソーシャルファーム / 就労支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、罪を犯した者(高齢者・障がい者)の社会復帰(更生)を支援するために設立された地域生活定着支援事業が運用されるようになったことで可視化された課題を明らかとし、それらの課題を克服する方法を諸外国の先進的な取り組みを参考に検討することを目的とする。 平成26年度は、研究計画に従って、地域生活定着支援センターが抱える課題やこれまでに蓄積されたノウハウを明らかにするためセンターに対する質問紙調査を実施するとともに、諸外国における取組みを調査するためにノルウェーでの海外調査を実施した。ノルウェー調査では、犯罪者に対して世界一寛容といわれる刑事政策の実現を支えるマスコミの報道倫理や受刑者に対する就労支援等について調査した。 地域生活定着支援センターに対する調査は、センターを調査単位としたセンターの活動実績(事件処理)に関する調査とセンターで働く職員を調査単位とした意識調査との二つから成り、2014年8月から11月までの間に郵送によって実施した。調査結果の分析は平成27年度に報告するが、全国48センターの2/3に当たる31センター、129人(42センター)の職員から回答を得た。 ノルウェー調査は、2014年8月に実施し、世界一人道的とTIMES誌に紹介されたハルデン刑務所、ノルウェー労働・福祉局(NAV)、矯正研修所などを訪問した。NAVは、福祉と就労支援を統合したサービス機関で、生活扶助、住宅支援、就労支援を一括して実施するため2006年に運用が開始され、刑務所内にもサービス網を展開している。ノルウェーの犯罪者処遇の最大の特徴は被疑者・被告人・受刑者といった法的身分によって市民を区別せず、必要な人に必要なサービスが行き渡るところにある。そして、そうした寛容な政策の実現を後押ししているのが犯罪や刑罰に対するマスコミの正確な報道とそれを支える新聞記者等のジャーナリズム協会の活動にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、当初の研究計画どおり、地域生活定着支援センターに対する質問紙調査を実施するとともにノルウェーでの実地調査を実施することができた。 研究計画では平成26年度はイタリアのソーシャルファームである社会協同組合に対する訪問調査も実施する予定であったが、これについては他の業務との関係上実施できなかった。ただし、イタリア調査については、平成25年度末に一度実施済みであり、27年度にも再度実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、26年度に実施した「地域生活定着支援センターにおける業務に関する調査」の結果を分析・公表するとともに、イタリアの社会生活協同組合に対する訪問調査を実施する。 その上で、上記質問紙調査の結果報告を各種学会や地域生活定着支援センターが実施する啓発セミナーや研修会において行う。また、年度末には調査結果の報告会も兼ねてシンポジウムを開催したい。
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Causes of Carryover |
パソコン・統計ソフト(SPSS)の購入を延期するとともに、イタリア出張を平成27年度に実施することとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に実施した地域生活定着支援センター調査のデータ分析のためのパソコン・統計ソフトを購入するとともに、イタリアにおける社会協同組合の訪問調査を実施する。
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Research Products
(9 results)