2015 Fiscal Year Research-status Report
地域生活定着支援事業の現状と課題:ソーシャルファームの可能性と地域社会の理解
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25380807
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
浜井 浩一 龍谷大学, 法務研究科, 教授 (60373106)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ソーシャルファーム / 社会的企業 / 地域生活定着支援センター / イタリア / 地域社会 / 犯罪者処遇 / 就労支援 / ノルウェー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、罪を犯した人の社会復帰(更生)を促進するために、地域生活定着支援事業が運用されたことによって可視化された課題を明らかにするとともに、それらの課題を整理しつつ、課題を克服する方法を諸外国の先進的な取り組みを参考に検討しようとするものである。 平成27年度は、研究計画に従って、平成26年度に実施した『地域生活定着支援センター業務に関する調査』のデータ整理・分析を実施し、調査報告書を刊行した。分析の結果、地域生活定着支援センターの職員の意欲は高く、業務に関わるほど、事業の重要性を更に認識する傾向があるものの、回答のあった過半数のセンターにおいて予算・職員数とも不十分であることがわかった。また、職員に対する意識調査では、この事業を円滑に進める上での一番の障害は地域社会の偏見であり、地域の理解を得ることが急務であることがわかった。 外国調査については、平成27年9月にソーシャルファーム先進国であるイタリアを訪問し、アルト・アディジェ県のトレント市にあるEURICSE(ヨーロッパ社会的企業・ソーシャルファーム研究所)・トレント大学社会的企業経営大学院教授を訪問し、イタリアにおける社会協同組合の経済効果等についてインタビュー調査を実施するとともに、資料収集を行った。また、トレント市及びエミリア・ロマーナ県のボローニャ市において社会協同組合の連合体であるコンソルツィア(Consorzia)を訪問し、社会的協同組合のネットワーク化について意見交換を行った。その結果、イタリアの社会協同組合ではリーマンショックによって一般企業がリストラに走る中、雇用を伸ばしていること、社会協同組合の持続的な経営には、「連帯感」や「情報共有」など一般企業経営とは異なるノウハウが必要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の研究計画に従って研究自体は概ね順調に進行していたが、地域生活定着支援センターに対する調査やイタリア調査などを進める中で、新たな研究課題等が見えてきたことから、更に研究を深め、より充実した内容の国際シンポジウムを行うため研究期間を1年間延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
『地域生活定着支援センター業務に関する調査』の結果を更に詳細に分析するとともに、日本とイタリアにおけるソーシャルファームに対する調査を継続し、ソーシャルファームの存在が社会に与える影響をハンディキャップを持った人たちの雇用だけでなく経済的な利益や地域の活性化など総合的に検討するとともに、市場で生き残ることができる持続可能なソーシャルファーム経営のあり方について検討する。 本年度末に成果報告としての国際シンポジウムを開催する。
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Causes of Carryover |
研究過程で明らかとなった新たな課題に取組むため、研究期間を当初計画より1年間延長し、イタリアにおける2回目の実地調査及び最終年度に予定していた成果発表の場としての国際シンポジウムを次年度に延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
イタリアを中心とした海外調査を実施するとともに年度末に海外から研究者を招聘し国際シンポジウムを開催する。
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Research Products
(8 results)