2013 Fiscal Year Research-status Report
「修復的実践」に基づく包括的「いじめ」対応モデルの構築
Project/Area Number |
25380822
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
下西 さや子 広島国際大学, 医療福祉学部, 教授 (80645490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 晴美 広島国際大学, 医療福祉学部, 准教授 (80331859)
西村 いづみ 県立広島大学, 保健福祉学部, 講師 (90405522)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | いじめ / 修復的実践 |
Research Abstract |
本研究は、いじめ問題の重篤化防止・予防の効果的手法として、近年、欧米で注目されている「修復的実践」に注目し、日本の学校文化に適合したモデルの構築を行うことを目的としている。モデル構築に向けて平成25年度に実施した研究は以下の通りである。 1.「修復的実践」に関する国内外の文献収集を行い、研究分担者と研究会を概ね2か月に一度開催した。また、アメリカで実践されている「修復的対話」の日本への紹介者である山下英三郎(日本社会事業大学大学院教授)および、欧米で発展してきた「修復的司法」の日本への紹介者である坂上香(一橋大学客員准教授)と会議を持ち、欧米での「修復的実践」に関する動向、成果、留意点などについて、多くの示唆を得た。その後、「あさひ社会復帰センター」で実施された、犯罪加 害者に対する「修復的司法」 に参与観察した。また、小学校~高校までの学校教員10 名を参加者として、「いじめ」をテーマにした「修復的実践」のワークショップをパイロット的に実施した。 2.「いじめ問題に関する大学生に対する回顧的調査」の実施に向けて、大学生20名を対象に、プレ調査を行い、調査項目の精査を行った。答えにくい質問などの指摘を受け、有意義な修正を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画は、①先行研究のレビュー②平成26年度に実施予定の2種類の調査(いじめ問題に関する大学生に対する回顧的調査・いじめ問題と対処実態,「修復的実践」に関する学校関係者に対する調査)の調査項目の検討、プレ調査を行うことであった。①先行研究のレビューに関しては、国内外の文献検討以外に、この分野の先駆的研究者である山下英三郎氏、坂上香氏などの研究者・実践者とそれぞれ2度会議を持つとともに、2度研究会・ワークショップに参加し、多くの実践的な示唆を得ることができた。 ②の調査項目の検討・プレ調査については、平成25年12月に大学生20名を対象にプレ調査を実施し、調査項目の検討・精査を実施することができた。また、学校関係者に対するプレ調査として、聞き取り調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、平成25年度に実施したプレ調査を基に、「いじめ問題に関する大学生に対する回顧的調査」と「いじめ問題と対処実態及び「修復的実践」に関する学校関係者に対する調査」の2種類の調査を実施する。また、平成25年~27年度に海外における「修復的実践」の事例収集と併せて、「修復的実践」実施をめぐる状況、特に「修復的実践」ファシリテーター養成プログラムに関するインタビュー調査を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度、東京で開催される研究会に3人で出張予定であったが、広島・島根で研究会を開催することとなり、旅費執行が抑えられた。また、調査の一部を次年度に実施することが適切であると判断したことから、そのための費用を繰り越した。 平成26年度は、アメリカ合衆国のウイスコンシン州・ペンシルヴァニア州での調査を予定しているが、調査予定周辺の交通事情が極めて悪いという情報を得ていることから、 一部の区間でタクシーの利用を考えざるを得ないこと、旅費全般が値上がりしていることから、本年度の繰り越し分を充当することとしている。
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