2013 Fiscal Year Research-status Report

アルコール依存症者のレジリエンス向上を目指す支援システム開発に関する研究

Research Project

Project/Area Number	25380826
Research Category	Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
Research Institution	Kyushu University of Health and Welfare
Principal Investigator	西田美香九州保健福祉大学, 社会福祉学部, 助教 (50509718)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	原修一九州保健福祉大学, 保健科学部, 教授 (40435194)
Project Period (FY)	2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords	アルコール依存症 / レジリエンス / 自助グループ / 支援システム
Research Abstract	本研究では、1）アルコール依存症回復者のレジリエンスを明らかにすること、2）そのレジリエンスを向上させる要因を解明すること、3）レジリエンスの向上を目指す新たな支援システムの開発を行うことの3点を行う。初年度で実施したことは以下の4点である。 ①レジリエンス概念の整理とレジリエンス構成要素に関する文献レビューを行った。②レジリエンス概念の基本とアルコール依存症回復者の回復プロセスを照らし合わせ、その過程が類似していることを明らかにするとともに、2012年に実施したアルコール依存症回復者3名を対象とするインタビュー調査の結果からレジリエンス構成要素の抽出を試みた。③アルコール専門病院で働く援助者にインタビュー調査を実施するとともに、アルコール専門病院における治療プログラムとレジリエンスの向上について検討した。④アルコール依存症の自助グループメンバーを対象に自助グループ活動前後におけるレジリエンスの変化を調査するため、アンケート調査を実施した。上記の結果、アルコール依存症者の回復要因の明確化を図るためにレジリエンス概念を用いることの有効性が明らかになった。また、アルコール専門病院における治療プログラムは、患者のレジリエンスの向上に働きかける内容となっていることが明らかになった。次年度は、アルコール専門病院で実施したインタビュー調査を分析し援助者の支援の在り方を検討するとともに、自助グループメンバーへのアンケート調査を分析し、自助グループ活動とレジリエンスの向上について検討する。更に、アルコール依存症回復者（約15名）へのインタビュー調査を実施し、レジリエンスを向上させるために必要な支援について検討する予定である。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 当初、初年度にアルコール依存症回復者15名へのインタビュー調査を計画していたが、アルコール専門病院で実施されている治療プログラムの実態やそのプログラムはレジリエンス向上にどのように影響しているのかを把握したうえで回復者へのインタビューを実施した方が、より的確なデータを収集できると考えた。アルコール専門病院での実態調査や援助者へのインタビューは、現在のアルコール依存症者支援の効果や課題等を示しており、次年度に実施する回復者へのインタビュー調査の有効な基礎調査となった。更に、自助グループメンバーに対するアンケート調査の結果から、自助グループの活動とレジリエンス向上との関連を分析することにより、アルコール依存症者の回復を促す有効な支援プログラムの検討につながると考える。これらのことから本研究はおおむね順調に進んでいると言える。
Strategy for Future Research Activity	今後の研究の推進方策として、初年度に実施したアルコール専門病院で働く援助者へのインタビュー調査を分析し、援助者の支援の在り方を検討するとともに、自助グループメンバーへのアンケート調査を分析し、自助グループ活動とレジリエンスの向上について検討する予定である。更に、アルコール依存症回復者（約15名）へのインタビュー調査を実施し、レジリエンスを向上させるために必要な支援について検討する予定である。本研究の最終年度は、各分野の専門家と連携を図り支援プログラムの検討を実施する予定である。各分野の専門家と良好な関係性を構築し研究を進めるために、本研究の趣旨や目標、今後の計画等を報告し検討する機会を早期から設けていこうと考える。
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding	当初、初年度に実施予定であったアルコール依存症回復者15名へのインタビュー調査を次年度に実施することが主な理由である。アルコール依存症回復者（15名）へのインタビュー調査の実施およびデータ分析を行い、アルコール依存症者のレジリエンスを向上させる要因の解明を行う。