2015 Fiscal Year Research-status Report
障害児等の家族支援プログラムと家族QOLアセスメントの開発
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25380830
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Research Institution | Kamakura Women's University |
Principal Investigator |
小林 保子 鎌倉女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30435234)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 障害児 / 家族支援 / 家族QOLト / 家族QOLアセスメント / 家族支援プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、障害がある子の家族支援プログラムの作成と家族QOLアセスメントの開発を目的に、柱となる3つの研究(研究Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)を通して4か年にわたり行うものである。研究Ⅰは、家族QOLアセスメントの作成にあたっての調査研究、研究Ⅱは、海外の家族支援サービスと家族QOLアセスメントの活用に関する研究、研究Ⅲは、障害児(者)の家族支援サービスプログラム作成に向けた調査研究である。 3年目の平成27年度は、研究Ⅰとして、平成26年度末に米国で開発されたアセスメントから日本版障害児の家族QOLアセスメントを開発するために実施したアンケート調査のデーターを用い、妥当性と信頼性の検証を継続して行った。その結果、日本版アセスメントの有効性を確認し、第53日本特殊教育学会(平成27年9月仙台)にてその成果を発表した。次に、対象とした障害がある子の家族QOLの実態を明らかにすることを目的に、子どもの年齢による特性があるか否か、幼児期、学齢期前半、学齢期後半の3群間で比較する研究を実施し、得られた知見を米国で開催された13th ISQOLS Conference(平成27年10月フェニックス)で報告した。研究Ⅱでは、すでにスペイン版家族QOLアセスメントが開発されているスペインの首都マドリッドの特別支援教育の現場を訪問し、教育と家族支援の実態に関するヒアリングを実施し、スペイン都市部での動向を把握した。研究Ⅲでは、家族支援プログラムの体系化に向けた研究の一環として実施した、遊びの活動とシンポジウムの実践報告を第54回全国保育士養成協議会研究大会(平成27年9月札幌)にて行うと共に、第2回目の実践活動を11月に実施した。今後も継続していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の全体構想は、障害児(者)の家族がよりQOLの高い生活が享受できる社会環境の充実を目的に障害児(者)の家族支援サービスの体系的構築とサービス提供で活用する障害児(者)の家族QOLアセスメントの開発を行うことである。本研究期間の4年間においては、日本版家族QOLアセスメントの作成を終え、それを活用した家族支援サービスの在り方について提言するまでを目標としている。 研究期間前半の2年間においては、ほぼ計画どおり米国で開発された家族QOLスケールをもとに、国内で活用するための日本版家族QOLアセスメントを作成する段階まで到達した。これにより、家族支援の実践におけるアセスメントを活用した試行的な実践研究が実施できる見通しとなった。3年目は、実際に障害がある子どもの家族の家族QOLの実態を子どもの年齢や障害種別での特性の有無など、様々な視点から検証した。また昨年度から平成27年度へと繰り越した諸外国における家族支援と家族QOLアセスメントの活用に関する訪問調査もまず、スペインの中心都市であるマドリッドを対象に年度中に実施することができた。その調査結果を通し、家族支援の動向は把握できたが、家族QOLアセスメントの実際の支援における活用の実態は見られなかったため、今後も継続した調査の必要性が感じられた。 先行研究において海外に先駆的な取り組みを見出すまでには至っていないため、実践研究の方法については、再検討し、変更を行った。これにより、最終年度に予定している実践研究を開始するための準備が概ね整ったところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、研究Ⅲの障害児(者)の家族支援サービスプログラム作成に向けた調査研究となる、家族QOLアセスメントを活用した実践研究を行う。実践研究については、児童発達支援事業や放課後等ディサービスを行っている事業所とその利用者に調査対象を依頼し、実際に家族QOLアセスメントを活用したサービス提供を試行的に実践してもらい、サービス提供とQOL得点との関係性の検証や支援計画の作成とそれに基づく支援の実践におけるアセスメント活用の有用性等について検証する。 本研究の実施にあたっては、事業者の調査協力が不可欠であると同時に、その事業者の サービスの内容や(支援の内容)提供方法によるところも影響が大きいと予想されるため、実践の流れに合わせて研究を遂行することを第一に進めていく方針である。基本的には、1年をめどに実践検証を行うが、十分な臨床データを得るためには、調査期間の延長も視野に入れ着手する。 また、家族支援で先行する諸外国における家族支援の実態とアセスメントの活用に関する調査研究は、今年度も引き続き行っていく。今回は、オーストラリアのニューイングランド大学との情報交換をはじめ、現地の療育施設や特別支援学校等の施設を通して、オーストラリアの特別なニーズを要する子どもと家族への支援の動向を探る予定である。 最後に11月に3回目の家族支援の実践活動を実施し、その成果の検証を終えた後、12月下旬をめどに、これまでの研究Ⅰ~Ⅲの総括を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、海外での訪問調査を実施したが、他の研究も合わせて実施したことから、当初見込んでいた海外調査費を他の調査費と折半で実施することができた。そのため、当初予定していた額より、低く抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度へと繰り越すこととなった158,802円は、その一部を開発したアセスメントの印刷費、研究発表用のサイトの改良費、及び実践研究協力事業所が複数にわたった場合の交通費及び人件費にあてる予定である。
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Research Products
(4 results)