2016 Fiscal Year Research-status Report
障害児等の家族支援プログラムと家族QOLアセスメントの開発
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25380830
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Research Institution | Kamakura Women's University |
Principal Investigator |
小林 保子 鎌倉女子大学, 児童学部, 教授 (30435234)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 障害児 / 家族支援 / 家族QOLアセスメント / 家族支援プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、障害がある子と家族が地域でよりQOLの高い生活が享受できるよう、家族支援プログラムの作成並びに家族QOLアセスメントを開発することを目的としたものである。本研究では、研究Ⅰとして家族QOLアセスメントの作成にあたっての調査研究、研究Ⅱとして海外の家族支援サービスと家族QOLアセスメントの活用に関する研究、研究Ⅲとして、障害児(者)の家族支援プログラム作成に向けた調査研究の3つの研究を通して遂行してきた。 研究期間の最終年度にあたる平成28年度は、①これまでの研究の成果のまとめと発表、②研究Ⅲのアセスメントを活用した家族支援プログラムの作成に向けた実践研究、③オーストラリア(シドニー及びアーミデール)の家族支援に関する訪問調査を行った。成果発表としては、研究Ⅰで前年度までに行った日本版家族QOLアセスメントの妥当性と信頼性の検証結果を「家族QOLアセスメント(日本版FQOL Scale)の妥当性と信頼性に関する研究)」として「児童研究」(平成28年8月発刊第95号)で発表した。また、研究Ⅲの家族支援プログラムの作成に向けた調査研究の一環として家族 QOLの実態から障害特性による支援ニーズを見出せるか検証した結果を、第54回日本特殊教育学会にて発表した。本研究は、家族支援プログラムの作成に向けた最終段階に入り、家族QOLの状況と構造を理解することは支援ニーズを明らかにする上で重要であり、支援計画に基づく支援においてアセスメントは有用なツールになるという見解に至ったため、新たに5つの家族を調査対象とした実践研究を年度前半に開始した。 今回、研究期間を1年延長し、平成29年度前半まで実践研究を続け、その結果を踏まえ、まとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の全体構想は、障害児(者)の家族がよりQOLの高い生活が享受できる社会環境の充実を目的に障害児(者)の家族支援サービスの体系的構築とサービス提供で活用する障害児(者)の家族QOLアセスメントの開発を行うことである。本研究期間の4年間においては、日本版家族QOLアセスメントの作成を終え、それを活用した家族支援サービスの在り方について提言するまでを目標としている。 研究期間前半の2年間においては、ほぼ計画どおり米国で開発された家族QOLスケールをもとに、国内で活用するための日本版家族QOLアセスメントを作成する段階まで到達した。3年目は、実際に障害がある子どもの家族の家族QOLの実態を子どもの年齢や障害種別での特性の有無など、様々な視点から検証した。また昨年度から平成27年度へと繰り越した諸外国における家族支援と家族QOLアセスメントの活用に関する訪問調査も年度中に実施し、国内での支援のあり方を検討する際の示唆を得ることができた。本来の最終年度にあたる平成28年度は、これまでの研究成果を学術論文としてまとめ、学会誌等で発表するなど成果報告を行った。また、海外(オーストラリア)の家族支援に関する訪問調査を実施すると共に、家族を対象とした実践研究に着手し、継続中ある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、研究期間を1年延長し、平成29年度は平成28年度前半に着手した研究Ⅲの障害児等の家族支援プログラム作成に向けた調査研究となる家族QOLアセスメントを活用した5家族を対象とする実践研究を継続して行う。 この調査結果をもとに、家族支援プログラムを作成する。そのプログラムを基にした家族支援ワークショップを平成29年11月に開催する予定である。その実践評価から、家族支援のモデルプログラムを完成させる。 同時に、家族QOLアセスメントの家族支援における活用方法をマニュアル化する。アセスメントと活用マニュアルは、児童発達支援センターや相談支援事業所など、関連する機関で活用しやすいツールとして社会的に周知していく予定である。周知方法としては、実践研究を学会や学会誌等で発表していくと共に、HP等を活用していく。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、海外での訪問調査において当初見込んでいた予算より、実際の経費がかなり抑えることができた。また、研究報告を行った学会の開催地が近隣であったため、交通費や宿泊費がかからなかったことから、1年延長して研究継続するうえで必要な経費として活用することが可能となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、学会での研究発表(含むシンポジウムの共同開催)、実践研究での謝礼、家族支援ワークショップ開催、HP更新費用に予算を活用する予定である。
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Research Products
(3 results)