2014 Fiscal Year Research-status Report
職場におけるレジリエンスの向上策の検討とその実践的応用について
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25380852
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
戸梶 亜紀彦 東洋大学, 社会学部, 教授 (60264917)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レジリエンス / 職場での困難克服 / 動機づけ / 認知 / 感動体験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、レジリエンスを高める要因、もしくは維持する要因について明らかにするため、昨年度と同様に「職務上での困難を克服した体験および挫折してしまった体験」についてインタビュー調査を引き続き実施し、困難を克服できた要因および挫折に至ってしまった要因について検討した。調査では、汎用性のある結果を得ることを目的としていることから、若年層だけでなく、離職の危機を乗り越えてきた年長者も含め、さまざまな職種の正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト・パート社員を対象に深層面接による調査を実施した。また、環境要因の違いから就労意欲の程度や職場を取り巻く環境などに違いが生じている可能性があるため、首都圏だけでなく他の地域ブロックの主要都市において、社会人への面接調査を実施した。面接を行う際の留意点は、これまでと同様であった。インタビューの内容分析の結果、レジリエンスを高めたり維持したりするには、「種々のソーシャル・サポートの存在」「自信や気持ちの強さ」「将来的な見とおし」「社会人としての責任感の自覚」「他者志向的動機」「義務感」「競争心」「楽観性」という要因が必要であることが見出された。次に、これらの結果に基づいて質問項目を作成し、さらにレジリエンスを測定する尺度とともにインターネット調査を年度末に実施した。学内での役職業務の関係から調査の時期が年度末ギリギリとなってしまったため、これらの結果に関しては、平成27年度の学会において報告をする予定である。また、27年度においては、現場での実践的応用を踏まえた研究を進めるべく、企業の管理職や現場の責任者などに研究結果についてのヒヤリングを行いつつ、交渉を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度と同様に、学内の役職を継続してやらなければならず、認証評価の後処理だけでなく、まったく予想していなかった定員増という法人からの要請があったため、人事を含むさまざまな業務が発生してしまい、当初考えていたほどには研究を進めることができなかった。次年度は、その役職の任も解かれるため、研究に専念できる環境になることから、遅れを挽回するつもりである。なお、現場での実践的研究を行うための企業の協力を得ることに関しては、まだ未確定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのインタビュー調査および前年度に行ったインターネット調査の結果から、レジリエンスに関連する要因を抽出し、これらを職場の文脈においてどのように導入が可能なのかについて、企業の管理者や現場の責任者などを中心にヒヤリングを行い、実践的研究の可能性を探っていく。また、企業での実践が無理であった場合でも、これまでの調査から得られた知見についてヒヤリングやインターネット調査などによって、その効果性や導入可能性について検証する。
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