2013 Fiscal Year Research-status Report
時間使用とモチベーションの自己制御における文化比較
Project/Area Number |
25380853
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
片山 美由紀 東洋大学, 社会学部, 教授 (50265229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀毛 一也 東洋大学, 社会学部, 教授 (10141037)
武田 美亜 青山学院女子短期大学, 現代教養学科, 准教授 (90509209)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 時間 / モチベーション / 自己制御 / 文化比較 / 心理学 / 感情 / 国際情報交換 / イタリア |
Research Abstract |
1. 各国の法制度整理:休暇・労働・家族・社会参加関連領域の法制度について、日本および先進諸国を対象として整理を行った。これらの領域は「世界のなかでも特徴的に」「急激な少子高齢社会を迎える」日本にとって大きな社会問題である介護および育児、そしてそれらに対する負担感の増大あるいは軽減に直接かかわり、かつ影響の大きい事柄である。この領域を研究対象とする社会的意義はいうまでもない。2. 研究レビュー:並行して、上述領域におけるメカニズム解明および介入に有効と期待される基礎的な社会心理学的/理論的変数である以下のものについて研究レビューを行った。すなわち、感情制御、マインドセット、マインドフルネス、ウェルビーイング、セイバリング、エフィカシー、ポジティビティ、エウダイモニア、ビッグファイブ、双子研究等である。これにより、社会心理学領域で盛んに研究されている特定領域が存在する一方、その近接領域ながら研究が非常に少ないものがあることが明らかになった。本研究の視点のオリジナリティの明確さが確認されたとともに、他方でどのように既存研究領域の研究者にテーマ設定の意義を説得していくかの戦略の必要性が示唆された。3. 心理尺度の精緻化:2回の新たなアンケート調査における心理尺度項目の精査、スイッチング/エフィカシーに関する自由記述の収集と項目作成、発展と精緻化を行った。4. 上記1-3については論文化して討論中である(未発表)。申請者の既有の国際比較データについても複数の翻訳版を作成しイタリアからの共同研究者の10月来日時および2月の渡伊時に議論を重ねており、国際情報交換が進展した。現在次の研究段階に進もうとしているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の国際比較において共同研究者となるイタリアの研究者との国際情報交流が、当初予定していた以上に、進んだ。時間使用のマインドセットについて、社会的観点からの精査、心理学研究観点からの精査、および調査データ観点からの精査がいずれも順調にすすんだ。
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Strategy for Future Research Activity |
時間使用のマインドセットの概念が、モチベーションの(適切な)自己制御、そして時間使用の文化差解明に有効であるとの観点で本研究は進められている。文化固有の変数の見直しを慎重に行うことによる理論的研究の補完によって、より良い研究成果が得られるものと考えられる。研究レビューおよび心理尺度の精緻化・狭い意味ならず広い意味での妥当性検証および社会的提言を視野に入れ、十分な予備的調査を行いつつ研究を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、インターネットを用いた国際比較調査を平成25年度に予定していた。しかし予想以上に国際情報交換が進んだことにより、却って、研究をさらに向上させる為の視点および手順が明確になるとともに増加した。予定通り平成25年度に調査を実施することは可能ではあったが、むしろ調査設計段階に時間をかける、そののちに調査を実施することが、本助成事業の最終年度までに得られる成果の質を更に高めると判断した。 本助成事業のかなりの部分は調査費用である。インターネットによる国際比較の本調査は平成26年度、また前述と同様の理由に基づき、場合により平成27年度に実施することとなる。
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