2014 Fiscal Year Research-status Report
科学技術リスクの社会的増幅に対する心理メカニズムの解明
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25380858
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Research Institution | Hamamatsu Gakuin University |
Principal Investigator |
岡部 康成 浜松学院大学, 現代コミュニケーション学部, 准教授 (10413569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神里 達博 大阪大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10508170)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リスク認知 / ベネフィット認知 / 科学技術リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,科学技術に関する専門知識を持たない人々に,リスク認知やベネフィットの認知などについて心理学的な調査や実験を通じて,リスクの社会的増幅に関する心理学的説明モデルを構築することである. 当該年度の研究計画については,大学生を対象に予備調査や過去のデータの再分析を通じて,項目やリスク事象の選択を確認し,一般市民を対象としてサンプリング調査を実施するともに,リスク事象に関する知識がリスクやベネフィットの認知にどのように影響するのか検討することなどであった. まず,2004年6月と2011年4月に大学生を対象として実施した16リスク事象(地震,原子力発電,水害,BSE,遺伝子組み換えなど)に関するさまざまなリスクの特徴に関する質問紙調査を再分析し,東日本大震災によるリスクイメージの変化を検討した.その結果,震災以降,日本では,地震や水害(津波など),原子力発電に対するリスク認知が高まっていることが多くの研究で指摘されているものの,リスクイメージについては大きな変化がない可能性が示された.また,代表的な科学技術の原子力発電を取り上げ,大学生を対象に原子力発電に対する情報探索を行わせ,リスクやベネフィットの認知や受容の変化について検討した.その結果,情報探索の内容に合致するようにリスクやベネフィットの認知は変化するものの,これらの変化は必ずしも受容に大きな影響していない可能性が示唆された. なおこれらの内容については,浜松学院大学の研究紀要に論文として掲載するとともに,第28回国際応用心理学会議において発表を行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は,過去のデータや予備調査,社会状況を踏まえ,一般市民に対するサンプリング調査の実施を計画していたが,さまざまな状況の変化の中でリスク事象の選定に遅れが出ており,サンプリング調査をの実施に至ったいない.また,最終年度に実施予定の海外比較研究のために,日本・アメリカ以外の国での調査協力者の開拓を目指しているものの現段階では見つかっていない.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度予定していた一般市民に対するサンプリング調査を早急に実施するとともに,海外との比較研究についてアメリカでの調査については調査協力が得られているが,欧州地域での調査協力者の開拓を学会発表等を通じて進めていく.他の地域での協力者が得られない場合は,日米の比較のみを実施する.
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Causes of Carryover |
当該年度,人件費・謝礼として一般市民に対するサンプリング調査費用を計上していたが,計画に遅れがありサンプリング調査を実施していないため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度,当該年度予定しているサンプリング調査を実施する.
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