2015 Fiscal Year Annual Research Report
組織集団における創造革新性パラドックスの発生メカニズムと克服方略に関する実証研究
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25380864
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Research Institution | Japan University of Economics |
Principal Investigator |
古川 久敬 日本経済大学, 経営学部, 教授 (30190143)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 創造革新性パラドックス / 創造的アイディアの生成 / 創造的アイディアの履行 / 「壁」と「溝」 / 仕事イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
1 組織集団において、「創造革新的なアイディアや計画が生成(創出)されても、それがその後の履行(実行、実現)に必ずしも結びつかないのはなぜか」(これを、本申請研究では新たに創造革新性パラドックスと名づけた)について、理論的、実証的に明らかにすることを目指している。 2 創造革新性の「生成」と「履行」と、集団特性および組織文脈特性との関係性を検討するために、企業組織従業員を対象とする調査を、特に履行段階を意識した新しい質問票を作成し26年度に実施したが、本年度も引き続き、そのデータの解析と検討を行った。特に、創造革新性パラドックス、そして特に創造的アイディア履行の抑制、促進要因について検討した。 3 その主な結果は、①創造革新性を認識している個人ほど、企画やアイディアを進める上で、自職場内や他部門の関係者との間に壁や溝があると、より強く感じており、創造革新性パラドックス生起の普遍性が示唆された。②創造的アイディアの履行において、職場内および他部門関係者との間の壁や溝の大きさは“抑制要因”として、他方、「共に見るもの」の意識化の高さは“促進要因”として働いていた。なお、「共に見るもの」のうち、会社レベルのそれは、職場や関係者レベルと比較すると明瞭な効果を持っていなかった。そして、③いずれの壁や溝の認知も、共同・一体を基調とするコンタクト(A、B)の割合が多いほど低く、対峙・分別を基調とするコンタクト(C、D)の割合が多いほど高かった。すなわち、共同・一体の姿勢が、関係者間の「共に見るもの」の意識化を促進すると考えられる。 4 また27年度は、職種間の連携が進行する看護職従事者を対象として、26年度に刊行した著書の基本をなす「壁」の構造と特性に関する調査研究を行った。対人および部署間の壁は、もともと存在するものではなく、「動くことで生まれる」、「仕事で交流をすれば生まれる」という特性があることを裏づけた。
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Research Products
(3 results)