2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380873
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
杉澤 武俊 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30361603)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 平均値差の検定 / 第1種の誤り / 検定力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,心理学領域の研究で多く用いられる平均値差を検定するt検定および分散分析に焦点を当て,慣習的手順の見直しと適切な手順の検討を行った。主な具体的検討事項は,母集団分布に関する正規性および等分散性の前提条件を確認する事前検定(予備検定)の結果によって手法選択することについて,および,分散分析において,本検定で統計的に有意な主効果や交互作用効果が見られた際に行う多重比較等の事後検定の手法選択についての2点である。 事前検定について,母集団分布の種類,母平均,母分散,サンプルサイズなどの条件を変えながら人工的に発生させた乱数データを用いて,事前検定の結果によって本検定の手法選択を行う場合と,事前検定を行わずに,等分散を仮定するt検定,等分散を仮定しないWelch検定,正規性を仮定しないU検定のみを適用する場合での,第1種の誤りの確率および検定力を算出し,これらの観点から適切な手順について考察した。 事後検定について,有意な主効果に対する多重比較の方法として,従来の心理学領域の研究で頻繁に適用されているTukeyのHSD法と,閉検定手順の枠組で有意水準を調整して対比較を行うShafferの方法を,母集団における効果やサンプルサイズなどの条件を変化させながら人工的に発生させた乱数データに適用して,各条件下における両手法の検定力を比較した。また,有意な交互作用効果に対する事後検定として,単純主効果の検定を適用することがルーチン化しているが,既存の手法である処理-対比交互作用の検定を適用した方が,研究の目的に照らして検定される仮説の内容という観点から,より適切である場合も多いことが示唆された。 これらの結果は,心理学領域の研究において平均値差の検定を適用する際の指針を与えるものであり,方法論の改善に資するものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の研究計画通りに遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従って,計画的に研究の遂行を継続する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた国外での学会参加を日程の都合上見送ったこと,および,次年度購入予定のコンピュータの価格が当初見積もっていた金額よりも高くなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
申請時の使用計画をベースに,性能の高いコンピュータを購入する。
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