2015 Fiscal Year Research-status Report
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25380873
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
杉澤 武俊 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30361603)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カイ2乗検定 / 事後検定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,心理学領域の研究でよく用いられる検定のうち,クロス集計表において質的変数間の連関の有無について検定する,カイ2乗検定に焦点を当て,慣習的手順の見直しを行った。具体的な検討事項として,カイ2乗検定で統計的に有意な連関があることがわかったときに,連関の詳細について調べるための事後検定の手法選択についてである。 実際に行われている心理学研究の現状としては,事後検定は行われないか,行われる場合はセルごとに調整済み残差による残差分析を適用することが一般的なルーチンとなっている。しかし,2変数のうち一方を独立変数,他方を従属変数として,独立変数のカテゴリごとに従属変数の分布の違いを調べたい場合には適切な方法と言えないこと,また,クロス集計表全体でのセル数に応じて多重性を考慮しなければ,かなり甘い基準での検定になることを人工データによるシミュレーション等で確認した。さらに,残差分析が手法としてふさわしくない状況下では,クロス集計表において行間の一様性を検定する方法や,クロス集計表から一部の行と列を抽出した部分分割表についてカイ2乗検定を行う方法などが,事後検定の候補となることが示唆された。 また,昨年度検討した分散分析において,交互作用効果の事後検定として適切であると考えられる処理-対比交互作用の検定や,さらにその事後検定として行う対比-対比交互作用の検定をオープンソースのソフトウエアであるRで実行するための関数の作成に着手した。 これらの結果は,心理学領域の研究において質的変数間の連関について検定を適用する際の指針を与え,また,Rでの使いやすい関数もしくはパッケージが完成すればより望ましい分散分析を実践するための手段を提供することになり,方法論の改善に資するものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で予定していた,連関の検定における事後検定の性質等の詳細な検討については完成していないが,代わりに,時間のかかりそうなRでのプログラム作成に前倒しで着手できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画から先送りにした,連関の検定における事後検定の性質等の詳細な検討について方法を工夫しながら遂行するとともに,一般ユーザが利用可能なプログラムの開発を並行して進める。
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Causes of Carryover |
当初計上していた成果発表のための学会にかかる旅費について,学会が勤務地での開催となり旅費の支出が発生しなかったことに加えて,研究遂行や学会等での成果発表で使用する予定であったパソコンが故障により使用不要となり,新たな機器を購入するための経費を捻出する必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ノート型パソコンの購入に充てる。
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